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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

開幕直前! ドクトル赤峰がピッティ・イマジネ・ウォモに期待すること

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みなさま、新年明けましておめでとうございます

せりすなわちさかう   芹乃栄 初候(1月5日~9日ごろ)
しみずあたたかをふくむ 水泉動 次候(1月10日~14日ごろ)
きじはじめてなく    雉始鳴 末候(1月15日~19日ごろ)

私たち日本人(ニッポン人)が最も日本と季節を意識する一年の始まりです。子どものころ、何度となくおせちの由来や七草粥、鏡開きのことなどを聞かされながら育ってきたのに、いまだに正しく知らず大人になった自分が恥ずかしく感じることがあります。

日本には八百万(やおよろず)の神様が息づいているので、すべてを理解できなくても、正月の作法やしきたりはこれから育つ子どもたちのためにも正しく知っておきたいものです。日本文化を継承する私たちにはその責任があるのではないでしょうか。

さて私が子どもだったころ、大晦日は除夜の鐘まで起きていることができず11時が限界。元旦の朝は6時起床、目覚めると枕元に新品の下着が置かれ、それに着替えて顔を洗うと、父親は庭に出て東西南北に向かって柏手を2回ずつ打っていました。そして部屋に入り、今度は神棚に向かって再度柏手を打つ姿を子ども心に不思議に思っていました。

私は餅を焼く担当で、家族4人なので計8個の餅を火鉢で焦がさないよう、何度も裏返して焼いたものです。母は雑煮やおせちの準備をして、焼き上がる餅を待っています。そして用意ができたところで、テーブルについて父のかけ声で「明けましておめでとうございます」の挨拶も終わって、お屠蘇(とそ)の儀式、最後の私は一舐めさせてもらい、儀式が終わってからやっとお料理にありつけるスタイルでした。

 

着物の一つも着られないで、日本人ですか?

新年を迎えるにあたって着物を着ました。14~5年前に、ユナイテッドアローズの重松理さんから「赤峰さん、みんなで花見に行きませんか?」と誘われて、着物を誂えて、京都にしだれ桜を見に行きました。

それから2005年に私が企画全般のプロデュースを任され、浴衣は創業130年の老舗「三勝株式会社」、着物は業界大手の「市田株式会社」との共同プロジェクトにより、ユナイテッドアローズから和服ブランド「九寸八分(きゅうすんはちぶ)」が誕生しました。

着物も洋服と同じくグレー(鼠・ねず)と茶の色合わせです。着物を着ると背筋の伸び方が違って気持ちいい。ジェントルマンを意識している男性は、着物の一つも着られないと日本人とはいえないので、ぜひ和装も楽しんでください。


インコントロの2018年年賀状。こちらは企業向け

 

メンズは「もう一度基本に戻る」と予測

1月はフィレンツェで紳士服の国際見本市「ピッティ・イマジネ・ウォモ」があります。今年が93回目ですから、45年近く開催していることになります。私の初ピッティは15回目ぐらいだったので、かれこれ80回近く、足かけ40年前から出かけていることになります。

今回は、2018年秋冬シーズンになりますが、メンズは「もう一度基本に戻る」と予測して出かけることにします。近年、メンズドレスは“クラシック回帰”が基調になっていますが、メンズファッションの現代の形がほぼ固まった1930年代ごろの時代に戻ってきています。

ジャケットのゴージラインが下がって、ラペルバランスが変わってきている。ダブルブレストが台頭し、ベストを着る人が増えてくる。パンツは股上がより深くなり、ツータック・ワンタックが増え、わたりと裾幅のバランスが変わって、サスペンダー(ブレイシーズ)を使う人が増えてくる。シャツの襟はレギュラーカラーに戻ってくる……など、次の秋冬でどこまで進化を見せるかが楽しみです。


インコントロの2018年年賀状。こちらは海外向け

 

アントニオ・リベラーノと電話で話したこと

今回のピッティでは、アントニオ・リベラーノが自社工場で作った新プレタポルテラインがお披露目になります。アントニオと電話で話したのは、「anni Trenta(アンニトレンタ)=1930年代」がキーになるということ。男が最もエレガントな時代だった30年代に、「Malto inglese(モルトイングレーゼ)」という最上級の褒め言葉をコレクションの中で表現したいと言っていました。

新プレタポルテラインは別注したオリジナルファブリックを用い、7~8割がハンドで、残りがマシンメイドになるそうです。私もとても期待しています。

また、「ブルックスブラザーズ」が創立200年を迎えるので、大きなイベントを開催します。30年代に開花した、英国の影響を受けながら作り上げた“アメリカン・ジェントルマンスタイル”のアップグレードも楽しみです。


赤峰さん個人の2018年年賀状。フォルツァでは特別に3パターンお披露目しました

次回、連載25回目は、1月20日頃の“大寒”。 ピッティ・イマジネ・ウォモから帰ってきて、イタリアの名門服地メーカー「CANONICO(カノニコ)」が発表するフランネルコレクションなどを速報でお送りします。お楽しみに!

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
https://www.facebook.com/JapanGentlemansLounge



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