最高級のジャケットで演出する、魅力度満載ブラックコーデ
無意味なシャツのボタン3つ空け、ムンムンするほど男臭い香水のつけすぎ、ピッチピチTシャツで無駄な筋肉アピール、金持ってまっせ的ギランギランのブランド財布……。あけっぴろげにエロスやセクシーさをアピールするのは、女性に警戒心を抱かせるだけ。超際どい長さのミニスカートや深いVネックニットで強烈な胸の谷間アピールされたら、男性だって警戒するものです。理想は、どこにでもいそうなのに、近づいてみたらさり気なくエロいと思わせる普通のスタイルです。
ということで今回は、普通のオジサンたちが着そうな安定感のある地味なネイビーのM-65型ジャケットを中心にそれを考えてみました。

アイテム
ジャケット/エルメネジルド ゼニア
セーター/クルチアーニ
パンツ/ニール・バレット
バッグ/ペッレ モルビダ
ソックス/カルツェドニア
靴/WH
(すべて干場私物)
前回、日本を代表するスタイリストの野口強さんのスタイルにインスパイアされたコーディネイトを紹介しましたが、これはその応用版ともいえる組み合わせです。全身ブラックだとモード過ぎるし、ネイビーの同系色で統一するにはトーン合わせが難しい。でもって、これまでブラック×ネイビーのコーディネイトはあまりやったことがなかったんですけど、試してみたら意外に相性がいいことがわかって、最近はこんなスタイルが気に入っています。
ブラックを軸にしたコーディネイトをするようになったのは、ここ2年ぐらいでしょうか。クラシックの世界では、あんまりやらない組み合わせなので、ずっと敬遠していたんですよ。でも、あまりに変わり映えせずに自分のなかでマンネリ化してしまった部分があって、新鮮な変化が欲しかったんです。
10年ぐらいかけて、アズーロ・エ・マローネ(青×茶)の組み合わせをやり過ぎたということもあります。その中で、茶は色域が広くてトーンを合わせるのが難しいことも知りました。ベージュ、ライトブラウンからミディアム、そしてダークブラウンまでありますし、厳密に言ったら、赤みの強いブラウンもあれば、青みの強いブラウンもある。さらには、靴も鞄も、ベルトも時計のベルトも、すべて同じブラウンで揃えるとなったら、統一感を揃えるのが本当に難しい。そうか、すべてダークブラウン一色で揃え始めたんですが、それも気の遠くなる作業。「そうだ、黒は黒でしかないから統一感を取るのは簡単かも知れない!」ということに気付いて、だんだんと黒、ブラックの魅力にハマっていったのです。

個人的に90年代のムードが復活しているのもあります。で、当時よく着ていたプラダのイメージビジュアルなんかを思い出しまして……。元プラダのメンズデザイナーだったニール・バレットのブラックスーツを買ったら、かなりの頻度でブラックを着るようになったんです。最初はセットアップで着ていましたが、上下別々でも使い勝手がすごくいい。テクノストレッチ素材なので、特にパンツがはきやすくて、いろんなものに合わせるようになった次第です。
でも、よく考えてみたら、これまでもグレーパンツはよく穿いていたわけで、同じモノトーンのブラックパンツが使えるのは当然といえば当然ですよね。ただ、こんなちょっとの変化で、気分がガラッと変わるんですから、ファッションって面白いですよね。


いつも言っている通り、今回のこのスタイルも“旅”を意識しています。パンツの動きやすさはすでに説明しましたが、エルメネジルド ゼニアのM-65型ジャケットも見た目だけでなく、機能性に優れた一着なんです。温度・湿度の変化に対応するうえ、撥水性・防汚性まで備えた「エレメンツ」というファブリックを使っているため、旅先の天候が不安定でもこれさえあれば安心。イタリア男よろしく、スーツやジャケットのアウターとしてデイリーの場面でも役立ちます。
で、ストイックに見えるこのコーディネイトのどこがエロいんだ、と思うでしょう? 確かに、ぱっと見は至って普通の組み合わせですよね。でも、このカジュアルなジャケットを触ってみたら、マジで驚きますよ。
「トロフェオ」というエルメネジルド ゼニアの最高級生地を使っているんですけど、これはオーストラリア産の「スーパーファインウール」のなかでも、さらに厳選された原毛だけを用いたもの。柔らかな触り心地と高級感のある艶が特徴で、しかも軽量。それが、「エレメンツ」ファブリックのベースになっているんですから、まさに鬼に金棒ですよね。あの硬いコットンのオリジナルの軍モノのM-65を触った後に、これを触ったら、そのしなやかさに5回ぐらい気絶しますよ。いや、本当に(笑)。

今回は、エロの二段攻撃として、インナーにはクルチアーニのクルーネックセーターを仕込みました。これも毎度のように登場させていますが、カシミアシルク製のトロミのある素材感が持ち味。やっぱり、上質な素材にはエロスが宿っていると思うんです。ランジェリーだって、女性特有の丸みを帯びた身体に、流れるように寄り添うからエロいわけじゃないですか。あれも粗悪な素材じゃ、絶対ダメ。上質なシルクの質感があって、はじめて気分がアガると思うんです。
つまり、その人の肉体を連想してしまうような流麗なシルエットや、やさしい手触りもエロスを醸成するための重要なポイントだってこと。さらに言うと、“エロサバ”はひとつの要素だけで成立するものではありません。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感をフル活用して、醸し出すものなのです。だから、香りも大切ですし、声も大切。食事を一緒にするときは、どんなメニューを選ぶかも大切です。そう、総合的なプレゼンテーションで“エロス”をアピールするのが、この道を極める秘訣なのであります。信じるか信じないかは、アナタ次第です。
今回のスタイルのキモは……。
● M-65型ジャケットで男らしさを演出。
● 無骨なデザインなのに、上質素材というギャップが重要。
● グレーパンツをブラックに替えるだけで新鮮に。
● インナーはカシミアシルクのセーターでエロの波状攻撃。
● 五感をフル活用してエロスをアピール。
Photo: Ikuo Kubota(OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
3冊目の書籍が発売になりました。今回は、難しいとされる大人のカジュアルスタイルについて書いています。読んでない方はぜひ!
干場義雅が教える
「究極の私服」
(日本文芸社)

2冊目の書籍は、色気についてです。 普通に見えて、なぜか人を惹きつける男の共通点について書いています。読んでない方はぜひ!
一流に学ぶ
「色気と着こなし」
(宝島社)

1冊目は、スーツの着こなし術から世界の一流品選びまで、基本的なことやお洒落の本質について書いています。読んでない方はぜひ!
世界のエリートなら誰でも知っている
「お洒落の本質」
(PHP出版)

エロサバ-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。

『FORZA STYLE』編集長
干場義雅
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。 スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする現在44歳の小誌編集長。東京生まれ。
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