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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

色気で勝負!Dr.赤峰がお薦めするネクタイの結び方とは?

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深まる秋色のヒントは、箱根・仙石原のススキ

かみなりすなわちこえをおさむ 雷乃収声 初候(9月23日~27日頃)
むしかくれてとをふさぐ    蟄虫坏戸 次候(9月28日~10月2日頃)
みずはじめてかるる      水始涸  末候(10月3日~7日頃)

「暑さ寒さも彼岸まで」の秋は、秋彼岸(あきひがん)と呼ぶそうです。昼と夜の時間が等しく、冬に向かって一日一日と夜の時間が長くなって、私たちは日常の中で「陽が短い、陽が長い」と何気に使っています。

私の大好きな花、彼岸花は別名「曼珠沙華(マンジュシャゲ)」と呼ばれて、何とも例えようのない美しい赤は、多摩川の土手を散歩しながら見つけたときのうれしさは格別のものがあります。

 

ジャケットとパンツの“緩やかな変化”を語る

私は洋服屋ですが、ドレス本来の楽しみや着る歓びを基本に服を作っていて、これまで装いをトレンドとして語ったことは一度もありません。ただ、変化にはもちろん敏感です。

ドレスクロージングの主役である“スーツ”では、ジャケットは3つボタン・段返りが基本で、襟のゴージ(上襟と下襟を縫い合わせた縫い目線)の角度は変わりませんが、位置が1cmほど低くなり、着丈は2cmほど長くなっています。

一番の変化は肩幅の設定で、これまでは本当の肩幅より中に入っていましたが、本来の肩幅に戻ってきていて、レギュラーな肩幅にウエストのシェイプが効いているフォルムになっています。

パンツの裾幅は18cmだったのが19.5~20cmになりますが、ピッティのクラシックラインでトレンドになっているのは22cmほど。ただ22cmぐらいになると、パンツ丈の設定や靴とのバランスが難しくなります。

ジャケットの次の予測としては、腰回りをすっきり見せるフォーマルなノーベント(切れ目なし)がクラシックの新しい傾向になると思われます。

 

では、シャツとネクタイはどう変化するか?

シャツの襟型はカッタウェイのようなワイドが相変わらず主流ですが、1920~30年代のクラシックな上着にはロングポイントやタブカラー、ラウンドカラーなどドレスの襟型が映えます。ジャケットのラペルバランスが変わるとシャツの襟は必ず変わるものと覚えておいてください。

またネクタイの結び方では、“色気=アクセント”をつける傾向が強く出てきています。タイのシェイプやバランスによって結び方は多少変わりますが、プレーンノットでディンプルを作って半返しして、小剣を気持ち長めにし、小剣が大剣の横からのぞく「小剣ずらし」がお薦めです。膨らみのバランスをちょっと変えて、フェイントをかけるのが今の気分。

 

箱根・仙石原のススキをイメージしてコーディネート

「秋分」の頃の休日には、父母が眠っている富士山の麓の墓参りが恒例です。オヤジには日本酒、オフクロにはぼたもち持参で、近況報告を済ませ、その足で箱根・仙石原方面へぶらり旅。

最初に箱根湿生花園に立ち寄り、足元が水たまりに渡した廊下をのんびり散歩して、深紅の赤トンボを観察しながら、空高く鱗(うろこ)雲で秋を感じながら仙石原に向かいます。仙石原は、紀元前1000年頃の水蒸気爆発によってできた北西斜面に、弥生時代に大量の土砂のせき止めによって湿地化し、農耕民が住み始めたそうです。

ススキの草原には何度となく足を運んでいて、それはワタシの好きな色“ミルクティーカラー”の草原だからです。遠くから眺めていても近くから見ても、飽きることのない大草原は、ベージュ色の修行場なのです。秋のベージュを目の当たりにしながら、カーディガンやコート、シャツ、ベルト、靴下、靴の重ね方を研究する絶好の場所なのです。

次回、連載17回目は、10月8日頃の“寒露(かんろ)”。私が一番好きなファブリックメーカーで英国フランネルの代名詞『FOX BROTHERS』をご紹介します。

Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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