デザインでの評価も高い軍用クロノグラフの代表モデルです!
世界的なROLEX(ロレックス)の“デイトナブーム”の影響から、いまヴィンテージウォッチの世界では、クロノグラフの価格が猛烈な勢いで高騰しています。
その中心に立つ、「Cosmograph Daytona(コスモグラフ デイトナ)」の人気は凄まじいものがあります。最近だと、パーツが整った個体と出会うことすら困難になりはじめている超人気の“手巻きデイトナ”、自動巻きの初期モデルに当たるRef.16520ともに値上がりが凄まじく、一部のレアモデルはついに1000万円を超える異常事態に。
次に分かりやすい例として挙がるのは、OMEGA(オメガ)の「Speedmaster(スピードマスター)」でしょう。超レアな1stは例外だとして、人気の2th、3thはもちろん、これまで買い求めやすかった4th、5thも市場から激減。モデルや個体によってはすでに2倍近く値上がりしており、100万円前後から購入が可能です。
そんな最中、昨今の復刻ブームも相まって、じわじわと人気が高まっているジャンルのひとつが軍用クロノグラフ。その中から今回ご紹介するのは、名門LEMANIA(レマニア)の個体です。
ヴィンテージウォッチに当てはまる時代のレマニアの特徴として、2つの側面がフォーカスされます。
そのひとつは、イギリス軍を中心に、各国の軍隊に数多くのミリタリーウォッチを納品していたという実績。
もうひとつは、ムーブメントを共有するエボシューメーカーとしての顔です。オメガの「スピードマスター」に使用されていたムーブメントとして名高いCal.321とCal.861を供給していたことでも知られています。
そんなレマニアの代表作が、この“ワンプッシュ クロノグラフ”。製造年数も長いことから、バリエーションも非常に豊富。こちらの「6BBシリーズⅢ」は、イギリス空軍に納品されたモデルです。
主なデザインの特徴は、クラシカルな2つ目のインダイヤルとリューズガードが付いたアシンメトリーな形状ののケースです。また、ケースのサイズ感も注目すべき点だと言えるでしょう。ヴィテージウォッチとしては、かなり大きめの40mm径であることに加えて、程よい厚みなので非常に着けやすいことも人気の理由です。
さすがにヴィンテージウォッチですから、水は気をつけなければなりませんが、その他の実用面は申し分ありません。玉数は決して多いとは言えませんが、その気になって探せばまだ見つかるでしょうし、価格もロレックスのレアモデルと比べれば、だいぶ抑えめだと言えます。
このように、魅力が満載のレマニアの“ワンプッシュ クロノグラフ”。軍用時計ですから、蘊蓄やヒストリーに浸るのも楽しみ方のひとつではありますが、抜群のスタイリングゆえ、ファッションアイテムとして楽しむ提案をオススメします。
さらに市場での人気が安定しているブランドなので、軍用クロノグラフの入門機としても最適。現行の腕時計にはない独特の雰囲気をぜひご堪能ください!
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:Tsuneyuki Tokano