DB11にV8搭載車を設定
ラグジュアリーブランドのなかで、いま最も熱いのがアストンマーティンです。というのも、彼らには明確なビジョンがあり、特別な限定モデルを除けば2020年までに投入するニューモデルもすでにアナウンス済み。
2017年後半戦のスケジュールは、デビューから1年を経過したブランドの根幹を成すDB11の追加モデルとしてメルセデスAMG製V8エンジン搭載車、そしてV8ヴァンテージがあります。
翌2018年は追加モデルとしてDB11ヴォランテ、続いてフラッグシップのヴァンキッシュを。2019年には注目のSUVであるDBX。2020年には新型ミドシップスポーツ、そして4ドアサルーンのラゴンダが控えているのです。
2014年に同社のCEOに就任したアンディ・パーマー氏は攻めの姿勢を貫きます。ヘッドハンティングも盛んで幾つか例を挙げるなら、ロータスからシャシーエンジニアのマット・ベッカー、フェラーリの戦略を練り上げたマックス・スウェイ、F1の経験もあり直近ではマセラティのパワートレインを担当していたイェルク・ロスを招聘しています。
EVに関しても目処が立っているようでプラグインはやらないと明言。今後期待されるサプライズも含めて、ますます目が離せそうにありません。
さて、話題を変えて、気になるのはDB11のメルセデスAMGエンジン搭載車です。日本でもプレオーダーが開始されて2ヶ月目に突入。関係者に問い合わせたところ、フルモデルチェンジほど反響はないものの、メディア向け国際試乗会はこれから……とのこと。インプレッションが読めるのは9月後半になりそうです。
現在発売中のDB11は、ボア×ストローク89.0×69.7mmのショートストローク型5.2リッターV12ターボエンジンを搭載。一方、メルセデスAMGのそれはボア×ストローク83.0×92.0mmのロングストローク型4リッターV8ターボとなります。
このエンジン、メルセデスAMGではGTシリーズに搭載しています。スペック上、近いのは中間グレードのS に搭載される最高出力375kW(510ps)/6250rpm、 最大トルク650Nm/1750-4750rpmのエンジンです。
ただし、そのまま搭載しているわけではなく、DB11専用にECUの設定や補機類の取り回し、薄型オイルパンの開発など、変更部分もいくつかあり、最高出力は同じですが最大トルク675NmとDB11に軍配が上がります。
ちなみにV12搭載車の最高出力447kW(608ps)、最大トルク700Nmとスペックは上回るものの、V8搭載車は115kg軽く、また前後重量配分では51:49から49:51と逆転。0-100km/h加速も0.1秒差しかありません。
しかし、ラグジュアリーブランドの価値は、数字で語ることのできない部分にこそ秘められるもの。単純に比較はできないのです。
Text:Seiichi Norishige
価格:2193万8900円(税別)
アストンマーティン ジャパン リミテッド
03-5797-7281
■Sublime choices: Aston Martin DB11 now offered with twin-turbocharged V8 engine