90年代回帰のムードにぴったりな一着
先日、紹介したライン入りパンツと一緒に、今年の2月に買ったライダーズジャケットです。牛革にパイソンの型押し、さらにネック、フロントジッパー、ポケット周りと袖口にウォッシュ加工を施して色落ちさせた、インパクト抜群の一着。僕は、こういうデザインものはあまり手出しすることがないのですが、ここのところ、なんだかアルマーニがすごく気になっているんですよね。
6月にミラノコレクションへ取材に行ってきたのですが、そこでジョルジオ アルマーニ、エンポリオ アルマーニのランウェイショーを見て確信しました。昔からアルマーニには憧れていたというのもありますし、自分がかつてお洒落に一生懸命だった90年代のムードがまた、ファッションに戻ってきている気がしているのもあります。そういった要素が複雑に絡み合っていることもありますが、今回のショーがまさにそこを突いていたんですよね。丸いレンズの2ブリッジのサングラスなんかも、モロ90年代のムードが感じられました。もちろん、バランスはいまのものに変換されていますけど、気分とか、ニュアンスとか、そういったなかなか言葉では言い表せない部分で、それを強く感じたこともあって、ますますアルマーニの服が着たくなりました。
アルマーニのパンツって、面白いことにクリースが入っていないんです。フォーマルウェアであっても、どこかリラックスした雰囲気が漂っている。イタリア取材時はフィレンツェでピッティを見てからミラノにコレクション取材へと移動するわけなんですけど、そうするとピッティのスタイルが、肩の力が入りすぎて窮屈に思えてしまうんですよね。もちろん、最近ではスナップに撮られたい連中が増えてしまったことで、こってりとしたオーバーコーディネイトが増えていることもあります。でも、アルマーニの洗練されたスタイルのほうが知性を感じられるし、カッコよく見えるんですよ。
若いころは、中身が伴わないと似合わないから自分には早すぎる、と思って、アルマーニはサングラスぐらいしか買えなかったんですけど、ようやく最近になって解禁してもいいかな、と。このブルゾンはこれだけで十分存在感があるんで、なるべく引き算のコーディネイトを心がけています。ネイビーのTシャツにネイビーのワイドパンツみたいな組み合わせが多いですね。足元は白いスニーカーでスポーティな感じを出すのが気に入っています。
Photo：Ikuo Kubota(owl)
Text：FORZA STYLE
エコラグ-Hoshipedia
「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き（エコノミック モーション）で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。
