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【オトナのギャンブル対談】井川意高× 元SONYのギャンブラー「日本よ、カジノに備えよ」

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井川:カジノをやらないことじゃないですか(笑)。今やってない人にはお勧めしません。
身の危険を感じてでもやりたい方はどうぞ。それでもやりたいならplay on your own riskですね。しかし「始めたら楽しいですよ」とは言えますね。でも女性はハマる人は少ないです。

makiko:そうですね。私も何度か行きましたけどハマりはしなかったです。

井川:女性は脳の構造上ハマりにくいんだと思います。ゴールドコーストに家族で行った時に奥さんたちに遊ぶ資金として10万円ほどのチップを渡したんですけど、全員が全員、一目散にキャッシャーに行って現金に換えていましたからね(笑)。ハナからやる気がないですね。女性は明日の100万円よりも今の10万円ですからね。

松井:著書の中で、井川さんご自身もギャンブル依存症だったかもしれないと書いていらっしゃいましたが、まさに僕は10年くらい前にひどいギャンブル依存症ではなかったかと、自分では思っているんです。でも最近、依存脱出方法が分かってきた気がするんです。逆説的なんですけど、無理にやめようとしたらやりたい気持ちが膨らみすぎて、爆発するので、ガス抜きを定期的にしていくことが一番良いなと思って。使える金額や回数、カジノにいる時間を決めておくと破綻を防げますよね。あとは人の金を借りないということですね。

井川:コントロールされた依存症ですね。それだけのことを決めて実行されている時点で、もう依存症ではないと思います。

松井:あ、そうですか。安心しました。

井川:私の周りには麻雀仲間もたくさんいるのですが、サイバーエージェントの藤田君も学生時代から雀鬼会(※桜井章一氏が設立した麻雀の競技団体)にいたくらいの麻雀好きなんです。でも、彼は“何時まで”とか“何回まで”と決めたら勝っていても負けていもサクッと帰るんですよね。もう残り30分くらいになると「ビールちょうだい」と言って帰る意思表示をするんです。カジノとか麻雀が好きな人は判断が鈍るから基本、プレー中にお酒飲まないんですけど。それができる藤田君は依存症じゃないということなんですよね。
私なんかは勝っていても負けていても、時間がなくなるまでやりますからね。だからここでやめようと言える時点で依存症じゃないんだと思うんです。

敏腕経営者はこう遊んでいる

松井:そうだといいんですけどね。日本にカジノができて、仮に入場料を取らないとしていつでも好きにいけるとしたら、気をつけないといけないなと思っています。パチンコ依存症がこんなに多いのは、パチンコが至る所にあって、いつでもできるからなんですよね。そもそも、家庭の主婦が、スーパーの帰りにギャンブルできる国なんて日本しかありませんからね。ギャンブル依存症にとっては最も怖い状況です。

井川:そうですね。パチンコ依存症より競馬依存症が少ないのは、競馬は土日に12回のレースと決まっていることが抑止力になっているんですよね。負けると1週間頭が冷やされますしね。

makiko:カジノにあるギャンブルって頭を使うものじゃないですか。私みたいに計算が苦手な人は行きづらいし、長時間できないんじゃないかなと思います。それが抑止力になるかなと。

井川:色んな方々から「あれだけ負けてすごいね」って言われるけど、「いや負けてないよ。(カジノに)預けてるだけ」と言っています。そのうち金利つけて引き出すからいいんだって(笑)。ただあれね、暗証番号が難しいんですよ(笑)。0か1かなのに、毎回暗証番号が変わっているからね。変動するから困っちゃう(笑)。

松井:競馬ファンも同じことを言っていて、自分のお金はJRAに預けてあるんだけど、毎回暗証番号が変わるから引き出せないって(笑)。
みんな「いつか取り返してやる」と思ってますし、僕もそうです。

makiko:トータルでいうとお二人は負けているんでしょうか。

井川:負けていますね。というか、預けています。

松井:僕は、ついにプラスにいきました!

井川:それは素晴らしいですね。

松井:最近やり方を変えて、チマチマやらずに一発勝負にしたんです。カジノにいくと“負け続ける人”を半日かけて探すんです。もう負け込んで、癇癪を起こしてその人が大金いったときに逆の目に大金を張るんですよ。それが不思議なことに当たるんです。それが僕の中で一番の必勝法かな。

井川:どうしよう。将来カジノに行ったらずっと松井さんに後ろをついてこられたら(笑)。
私このあいだGMOの熊谷さんと話をしていて、「またカジノやるの?」って聞かれて「いやいやいや」って言葉を濁しつつ「仮に次やったとしたら前回の敗因は一つだと分かってるんですよ」と。
つまり、当時の私は時間がなかったんですよね。週末にカジノに行って、最後の方は「取り返さなきゃ」って気持ちが焦るし、何よりも時間が限られていることがダメなんだよね。今は無職で暇ですから仮に行ったとしても、ちょこちょこやって「ツイてるな」と思ったらドンといくし、1週間滞在したっていいわけじゃないですか。途中で飲みに行ったりして、ですね。
それで“勝てる”とは言わないけど、「負けにくくする方法の一つだ」と言ったら、熊谷さんもご自身の投資経験などからこうおっしゃっていました。「僕は、“時間をコントロールした者”が強いんだと分かったんだよ。今ギャンブルはやらないけど、投資も同じ。倒産されたらお終いだけど、株なども自分の思ったタイミングで売ればよくて、一旦下がったとしても、時間を支配した方が金も支配できるんですよ」って。
これは必勝法の裏返しというか、負けにくくする考え方なんです。時間に余裕がないとダメですね。気持ちもどんどん焦っちゃいますからね。

結果はイーブン!

松井:勝負どきじゃないのに「今しかチャンスがない」と思って賭けちゃうんですよね。自信があるからといって勝てるわけではないものの、自信がなくてやった博打は大抵勝てませんよね。

井川:その理屈は明確ですよ。あんな2分の1の確率にものすごく神経を研ぎ澄ましてやっても勝てないのに、そのうえ焦ってパニックになっていたら絶対勝てるはずがないんですよ。

松井:どうしてなんですかね。

井川:2分の1なのに判断を誤るんですよね。

松井:パニックになると必ずハズレを引く。神様がそうしているようにしか言いようがないですね。

makiko:最初におっしゃっていたちょっと光って見えるとか何かが分かる気がするとかは、あれはどういう境地に達すると。

井川:ニルヴァーナですよね。たぶんそれまで調子が良かったから頭の中にドーパミンが出てて、脳が異常に興奮し、思考機能が鋭くなり、魂が解放状態になるというか。

makiko:毎回そういう感覚なんですか。

井川:いやいやそれはたまに。ギャンブラーズハイというやつですね。

松井:実際は錯覚なんでしょうけど、本人にはほんとに見えるんですよね。

makiko:やっぱりその時はどんどん勝っていくんですか。

井川:どんどん勝つ。たぶん順番が逆だと思う。勝ってるからそうなってるんですよね。

makiko:そういう感覚を聞くと興味がわいてきますね。

松井:やってみます?

makiko:興味はあります。体験してみたい気もしなくもないです。

井川:そこに行くには1回どん底に行かないといけないですよ。 “持ってたやつがなくなって、限界までいった時”になりやすいんですよね。最初から勝っていった時って、“嬉しいんだけどそうじゃない”んですよ。負けていたやつを連続で取り返した時にハイになっていく。

松井:いやぁ、ものすごく深い。自分が持ち込んだお金と、どん底から自力で得たお金って、金額は同じでもその色が違って見えます。全く別物ですよね。

makiko:価値も違いそうですよね。

井川:勝っていたときが嬉しいのかって言われると、そうでもなくて、負けている時に取り返したときが一番嬉しい。当然勝ったのは嬉しいんだけども。

松井:獲得感があるというか、充実感というか。

makiko:自分との勝負の世界なんですね。

井川:まぁ実際にはカジノとの勝負なんですけどね。でもおっしゃる通り自分となんですよ。そこで緊張感が切れちゃったら絶対勝てないですよね。

makiko:平常心を持って、焦らないようにして、時を支配して…すごくカッコ良いことに聞こえてきますけどね。

井川:でも結果負けてますからね。そこから得た教訓ですかね。はまっちゃって失敗しちゃうとこうなりますよ、という反面教師です。

makiko:カジノの世界は知らないことばかりで新鮮です。“男の世界”という感じですね。

松井:確かに男の世界かもしれません。カジノで勝った人を目当てにした売春婦なんかもいますしね。マカオでは“回遊魚”って言われたりもしています。

makiko:売春婦のことを“回遊魚”って言うんですか!

松井:リスボアっていうカジノは、フロアが丸くなっていてグルグル回れるんですよ。ほんと20歳前後のミニスカのAKBみたいな子達ですよね。その子達がグルグル回ってるから“回遊魚”って言われてて。

井川:立ち止まっちゃいけないことになってるんですよ。中がレストランみたいになってそこは止まって食べてもいいんだけど、それ以外は立ち止まっちゃダメ。

松井:ほんとにマグロのように回ってるんですよ。

井川:金が無くなって「小銭でやるしかない」という時にATMへ行くと、彼女達が客からとって稼いだお金を預けに来ているんですよね。物騒だから、すぐに預けるんですよ。彼女たちは近くのホテルに女の子同士で一部屋借りてて、順番に同じ部屋を使ってるんですよ。お客を取る部屋代ももったいないと。

松井:こんなことここで話していいのか分からないですけど、彼女達の部屋にも泊まったことありますよ。どういうシステムか知りたくて、英語がペラペラの子がいたんで、「ちょっと話聞かせてくれって」言ったら部屋に連れていってくれたんです。彼女たちは3人で1部屋を借りていて、そこに入れ替わり立ち替わり客が入ってくるんですよ。「あなた今日ここにいていいよ」っていうんで、念のためパスポートとお金をパンツの中に隠してベルトを締めて、一番端っこのベッドで寝ながら、様子を観察していました。途中で女の子を派遣してる元締めやり手ババアがお金の集金に来たりね。

井川:ディープなところまでご覧になっていますね。

makiko:そのお部屋、ベッドがいくつもあるんですか。

松井:部屋が2つくらいあって、ベッドが3つくらい並んでいたんです。そうやって共同生活しているんですよ。他には、フィリピーナで出稼ぎに来ている子に誘われて部屋まで行ったら、7、8人いたこともありましたね。全員上半身裸で、僕が入っていったらみんな最初は隠していたけど、会話しているうちにみんな手を外して、結局上半身裸の女性とずっと喋っていました(笑)。僕も見慣れちゃって(笑)、マカオってそういうとこありますよね。

井川:マカオって、クスリ以外は飲む・打つ・買う全ての快楽がアリですからね。

松井:オランダなんて売春宿は国営ですからね。

井川:ドイツもそうですよ。ちゃんと飾り窓がありますからね。向こうのスパみたいなところで、みんな裸で男性が行って好きな女性を選ぶ。ドイツも合法ですよ。

松井:日本も大人の成熟した社会性を身につけるといいですよね。

井川:そこなんですよね。

松井:カジノも一緒ですよね。どこまで行っても日本人は子供です。

井川:大人の考え方ができないですよね。

松井:大人は、法律を守り、他人に迷惑をかけない限り、自分の責任で自由にやればいいんです。

井川:おっしゃる通りです。

松井:おっと、良い話にしちゃったらいけないんでしたね。

makiko:いえ、個人的にとても勉強になります。

松井:でもカジノはほんと楽しいですよね。そして『熔ける』はギャンブルをやっている人は読むべきですよね。競馬しかやらないに人も通じますからね。

井川:とはいえ、やはり今ギャンブルをやっていない人ははやらないほうが良い。でもカジノは作るなら作ればいいんじゃないかなとは思いますね。国は基本的にはお金出さないのに税金は入ってくるんだから、全体で見ればメリットがありますからね。ギャンブル好きは癖(へき)ですから。依存症は言葉を変えたら癖(くせ)ですよね。某経営者は捕まるかもしれないって分かっているのに18歳未満の子が好きで、みんなに「やめとけよ」って言われていたのにやめられなかった方もいますもんね。自分の破滅がわかっているけれど、ね。経営者としてはとても“成した人”でしたよね。今はもう海外に行っちゃいましたけれど。

makiko:究極に夢中になれるものを見つけるってハッピーなことですよね。

松井:やっぱり何かにハマるということが生きている証拠というか、むしろ何もハマったことがない人って気の毒ですよね。カジノは楽しいんですよ。ご覧の通り。

makiko:お話を伺っているだけでもすごく楽しかったです。読者の方にこれだけは気をつけろよとかありますか。

井川:借金してまでカジノはやめましょう。借金してまでギャンブルはやめましょう。

松井:もし言えるとしたら「今回は負けたけど仕方がない」って諦められるようになったら、破滅はないと思いますね。

井川:それは5年前に教えてもらいたかったですね。

松井:いや、5年前は僕もハマってましたから(笑)。

makiko:そうは言っても「諦めたらそこで試合終了」だから頑張りたい気持ちもありますよね。せっかくカジノが出来るなら、文化としてカッコ良く成立して欲しいですよね。色気の部分も含めて。

松井:そうですね。悪い事じゃないですからね。

photo: Shinpei Suzuki
text: makiko
Location: Wallflowers Bar

山本真紀子(やまもとまきこ)早稲田大学卒。某メガバンク総合職退職後、株式会社JunoJapan設立。アパレルブランドPR等ファッション関連ビジネスを経て、ライフスタイルマガジン「ADVENTURE KING」編集長(2012~現在)。趣味ランニング、ヨガ、飲酒。旅とワインをこよなく愛する冒険野郎。


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