よく買ったマルタン・マルジェラの中で一番着てるアイテムかも
さて、44回目は、メゾン・マルタン・マルジェラ(Maison Martin Margiela)のドライバーズニットです。40代の服好きなら、必ず一度は通ったであろうマルジェラ。もちろん、僕もドップリで、最初のエイズTから話題のコレクション、アーティザナル、果てはマルタン・マルジェラが手掛けていた1999年〜2003年のエルメスまで、どうやってお金を掻き集めていたのか…、とにかく清水ダイブを繰り返していました。コレもそう。
知り合いに譲ってしまったり、クローゼットの奥の奥に眠っているものも多々ありますが、このドライバーズニットだけは、結構コンスタントに袖を通しているんです。理由は単純、コットンだから! 以前から幾度となく書いていますが、繊維刺激にとにかく弱いワガママこじらせボディの僕は、ウールのハイネックなんて以ての外。すぐに首がムズムズ痒くなって、脱ぎ捨て御免です。
そして、このドライバーズニットは、トラック運転手が好んで着用していたニットがデザインソースになっているだけあって、使い勝手がとにかく良い。座りやすいようにダブルジップ仕様になってたり、腕が動かしやすいパターンだったり、あと目が詰まった編み地は風を通さず、コットンでも意外に寒くない! 春先とか秋口とか、昼間は暖かいんだけど 夜寒いみたいな、どっちつかずのI WANT YOUな季節に重宝しています。
ネックの高さも絶妙で、肌寒いときはジップ全締め、少し暖かいときは開けてきてるんですが、開けてても襟は程よくピンコ立っているので、バランスも取りやすい。Tシャツやシャツの上に羽織るアウターとしても、コートのインナーとしても着られる、「お前、マテウスかよ!」ってくらいなユーティリティプレイヤーなんですね。
そうそう、色も最高。ネイビーとブルーの間くらいな絶妙なカラーリングで、渋すぎず明るすぎず こっちもどっちつかず…。購入したのは相当前ですが、齢40を迎えた現在でも違和感なく合わせられます。いまは、僕が購入したときよりだいぶ高額になっていますが…。僕の経験則から言わせて貰うなら、きっと元は取れる。減価償却できるアイテムだと思います。
ちなみに本日3月31日から8月17日まで、ベルギー・アントワープのMOMU(MODE MUSEUM)では「Margiela, the Hermès years」と銘打たれたエキシビジョンが開催されたり、2017年末には彼のドキュメンタリー映画『We Margiela』が公開予定だったり、マルタン・マルジェラという存在と彼の偉業に再び注目が集まりそうなので、ワァーっと湧く前にクローゼットの秘境に眠ったアレやコレを引っ張り出しておきましょうかね。テーマ曲は、もちろん……
Photo:Riku Kashiwabara
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。