南三陸町の復興と、東北一の桜の名所を目指すプロジェクト
高級服地ブランド「DORMEUIL(ドーメル)」を扱うドーメル・ジャパンの代表を務める加賀美由加里さんが「一般社団法人LOOM NIPPON」を立ち上げ、東日本大震災の被災地や被災者に本当に必要とされる雇用創出や地域復旧復興支援を行っているのはご存知でしょうか。
そのLOOM NIPPON(ルームニッポン)が行っている活動「KIBOU311」の顧問を務めている赤峰さんは、「加賀美さんと、20年後に南三陸町の桜の木の下でお花見をしながら、おにぎりを食べようと約束している」と笑います。(上写真は2016年の植樹の様子/LOOM NIPPON提供)
翌年、南三陸町を訪れて、言葉がなかった
2011年3月11日(金)、14時46分。赤峰さんは大阪にいたそうで、「阪急メンズの全体プロデュースをやっていて大阪にいました。地震発生のときは新大阪駅のホームにいて、“あれ? 立ちくらみかな?”と思うほど揺れを感じました。それから新幹線に乗ったのですが、岐阜羽島ぐらいから徐行になり、名古屋で下車してホテルを探しましたがどこも満室。やっと岐阜の大垣市に部屋を見つけて、翌朝一番で帰京しました」と振り返ります。
2012年の初めての植樹(LOOM NIPPON提供)
ルームニッポンが行っている活動「KIBOU311」は、「ドーメル・ジャパンの加賀美さんの大きな被害を受けた被災地や被災者の方々を支援したいという想いからスタート。そして、その想いにドーメル社のドミニク・ドーメル社長が賛同し、ドーメル社全体で支援しています」と赤峰さん。
ドーメルの服地を代表する春夏生地の『トロピカルアマデウス』と秋冬の『アマデウス』でスーツやジャケットをオーダーすると、「KIBOU311」の織りネームが付けられ、その売り上げから南三陸町に「桜3000本を寄贈」を目標に、震災の翌年、2012年から桜の苗木の植樹をスタート。昨年までで、ドーメルからは886本を寄贈し、プロジェクト全体では1630本が寄贈されています。
毎年5月に南三陸町で「桜の植樹祭」を開催
「津波によって多くの木が流された南三陸町にできるだけ多くの桜を植樹しよう」とスタートしたプロジェクトは、2012年3月17日に、若い苗木を子供たちの手で植樹する第1回の植樹を終了。赤峰さんは、加賀美さんから「プロジェクトに力を貸してほしい」と声をかけられ、オンワード樫山代表取締役社長の馬場昭典氏と関口執行役員とともに毎年植樹に参加しています。
「南三陸町の復興と、東北一の桜の名所を目指しているプロジェクトですが、ドーメルでは桜にちなんだ柄のネクタイやチーフを製作して販売しています。みなさんもぜひ支援をお願いします」と言います。
加賀美さんが代表するLOOM NIPPONのLOOMは、“Love Of Our Motherland(郷土愛)”の略で、さらにLOOMには織機という意味があります。その心を紡いでいく活動は、「復興で一番大事なことは女性の仕事をつくること」という考えに至り、南三陸でバッグを製作するプロジェクトに発展。
赤峰さんは、「南三陸にあるアストロ・テックという会社の高い技術力を活かして、手織りのレザーバッグを開発。発売以来、評判を呼び、2013年の春に皇后陛下が被災地を慰問された際に、そのLOOM BAGをお持ちになられていました。東京では銀座のサンモトヤマでも販売しています」と、もう一つのプロジェクトを紹介。
「南三陸町に行って、帰りに買ってくるワカメが大変美味しい」そうです。
一般社団法人LOOM NIPPON
Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii