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赤峰幸生が語る、第91回「ピッティ・イマージネ・ウオモ」【連載・番外編】

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クラシックは影を潜めて、新しい動きに注目

1月に開催されたイタリア・フィレンツェで開催される、世界最大級のメンズファッション展示会「ピッティ・イマージネ・ウオモ」は数えて91回目。「ピッティは足かけ45年、17回目からほぼ毎回見ています」というメンズファッション界のレジェンド、ファッションディレクターの赤峰幸生氏に今回の印象を伺いました。

結論から言うと、あまりグッとこなかった

1月15日から18日まで、5着のスーツを持って「ピッティ・イマージネ・ウオモ」に行ってきました。ハンガリー・ブタペストの方に「クラシックスタイルが好きで、お前のことを知っているから写真を撮らせろ」と言われて応じましたが、会場にいる男たちは、どんどんコスプレチックになってきています。

かつてはナポリ、ローマ、ヴィツェンツァのメーカーなどの人は、もっとドレッシーでしたが、約10年前ぐらいからクラシコイタリアが崩れ始めて、カジュアル化、スウェット化、デニム化、ウォッシュ化しています。

ピッティは17回目からほぼ見ていますが、それ以前にロンドンで開催されていた展示会「British Menswear Guild(ブリティッシュ・メンズウェア・ギルド)」は、普通にテールコートを着た人が会場にいるぐらい格調高かった。

カジュアル化の流れはそのままで、特にグッとくるものは少なかったですが、スペインのメーカーで、オーガニックヤーン(糸)やオーガニックダイ(染め)に取り組んでいるところが出てきていて楽しみだなと思いました。

日本人は、“クラシックの進化”のとらえ方が上手

ヨーロッパのクラシックは1920~30年代にその基本が出来上がりました。サヴィルロウの構築的な服はアングロサクソンならではだし、それを柔らかくかみ砕いたイタリアの服は、さすがラテンだなと思います。

現在のスーツの主流は、英国的要素を備えたイタリア生地で、柔らかいけど芯がある=アルデンテな生地が最も好まれます。アルデンテな生地だと、クリースもキレイに出るので、クラシック感が表現できる。

ただ、そういうクラシック感の微妙なニュアンスをアレンジするのは日本人が上手で、クラシックの進化は日本人バイヤーやデザイナーにも託されているように思います。

1930年代のアメリカのドレススタイル、オケージョン別の着こなしをイラスト化した資料(1937年)

今回のピッティは、2017-18年秋冬の展示会でしたが、“色”では茶系がかなり目立ち、ネイビーやグレーと同じ大きな柱になるような感じです。個人的にも茶系は好きで、着こなしにもよく取り入れていますが、この秋冬はカーキ、ベージュ、タンなどと混ぜ合わせたような“土の断層”のような微妙な茶のバリエーションが楽しめると思います。

ひとつ、これを読まれている男性諸君に教えたいのは、イタリア人から「モルト イングレーゼ」と言われたら、それはとても名誉なこと。「ものすごく英国っぽいね」という意味で、「エレガンティッシモ」と同じ褒め言葉です。

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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