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FASHION 赤峰幸生の服飾歳時記

赤峰幸生が語る「二十四節気(着)」【その壱・立春】

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「旧暦」に合わせて服を着ることを習慣としたい

四季のある美しい国だから、“季節の着こなし”を――「旧暦の春は、立春(2月4日ごろ)、雨水(2月18日ごろ)、啓蟄(3月5日ごろ)、春分(3月20日ごろ)、清明(4月5日ごろ)、穀雨(4月20日ごろ)に6等分されます」と赤峰さん。

新連載の1回目は、「立春」
東風凍を解く(とうふう こおりをとく)
黄鶯睍睆く(うぐいすなく)
魚氷に上る(うおこおりにあがる)

立春とは、初めての春の兆しが現れるころのこと。最初に吹く南寄りの強い風が「春一番」です。
※「二十四節気(にじゅうしせっき)」とは、1太陽年を日数(平気法)あるいは太陽の黄道上の視位4等分し、その分割点を含む日に季節を表す名称を付したもの。

2月の気分をスタイルで表現すると……

春とは「張る」、木の芽や土が張る季節。
海外出張の多い方は理解していただけますが、イタリアは春の時期がほとんどなく、夏時間が長い国です。英国は冬が長くて、夏が短い。それに対して日本は、梅や桜など季節を代表する花があり、それを変換してお菓子に見立てるなど、季節を情緒的に味わう習慣があります。

日本の春といえば、菜の花、さやえんどう、はまぐり、椿餅、うぐいす餅、梅衣、豆餅などが旬の食です。

赤峰さんが主宰するデザインカンパニー「INCONTRO(インコントロ)」アトリエにて

 

 

“旬”とは10日間の意味。これを私流に着こなしに変換してみると、春の兆しを感じる2月の着こなしは、イタリア「MONTEDORO(モンテドーロ)」のコートに、自身が手がけるレーベル「Akamine Royal Line(アカミネ ロイヤル ライン)」のハリスツィードの平織りという希少な生地のジャケットと、同じくオリジナルのテニスパンツを。インナーのニットは、「OLD ENGLAND(オールドイングランド)」のカシミヤタートルです。

イタリア人に言わせると、日本人は「モルト・デリカート(delicato)=とても繊細で、優美」だそうですが、四季の移ろいなど自然を、嗅覚や視覚、味覚などで味わうデリカシーを持つ国民性は、まさに世界でナンバーワンでしょう。ですから、洋服も「季節感を大切」に着てほしい。特に、「旧暦」に合わせて服を着るべきです。

気持ちは春、色も春色、「リヴェラーノ」仕立てのロイヤルブルー

“立春”に合わせて選んだコーディネートは、「LIVERANO(リヴェラーノ)」のスーツと、スイスの生地メーカー「ALUMO(アルモ)」社のシャツ、「DRAKE’S(ドレイクス)」のネクタイです。

リヴェラーノのアントニオ・リヴェラーノとは37~8年のつきあいがあり、今では兄弟のような間柄で、ミラノで会うと、ホテルのツインルームで一緒に過ごす間柄です。

このロイヤルブルーのスーツは、「DORMEUIL(ドーメル)」のスポーテックスという1940年代のヘビーウエイトの生地をリヴェラーノに持ち込み、フィッティングして、22年前に仕立てたもの。とにかくアントニオの技が素晴らしい。

イタリアのサルトというと、ナポリ、ローマ、ミラノなどいろいろ流儀がありますが、アントニオの仕立ては、まさにオリジナルのスタイル。ジャケットのフロントカットはアメリカ的なカッタウェイで、肩幅はゆとりのあるナチュラルショルダー、3つ釦(ボタン)段返り、ポケットにはフラップは付けず、両玉縁仕立てです。パンツはワンタックのダブル5cm。

アルモ社のシャツは、自分が一番好きな幅のペンシルストライプで、生地は170双。ヨーロッパのドレス文化が花開いた1920年代の基本のレギュラーカラーです。

シャツに締めているのはドレイクスのネクタイで、肩に回しているのは、40年前に働いていた「MACBETH(マクベス)」のレジメンタルタイ。レジメンタルは日本人はフレッシュマンのイメージが強くありますが、本来は普遍的なものです。

まだ肌寒い2月初頭にヴィヴィッドなビタミンカラー=ロイヤルブルーを着ることで春を感じたい。リヴェラーノのスーツは22年間着ていますが、いまだ現役です。

新連載2回目は、2月18日ごろの“雨水”。雪が雨に変わり、氷が融けて水になる。「氷雪融け雨水温む」。あの亡き名優が着ていたブランドが登場します!

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

ジャパン・ジェントルマンズ・ラウンジ
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