ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION こじラグ

第35回 パンドラの箱に眠る LMアルティエリのニットコート

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録
自分が本当にイイと思う、一流品を買い集めていたら、無類の服好きが集まっているはずの編集部内でも「買い方がおかしい」「こじらせてる」と。自分じゃ、至極普通だと思っていたのに…。ホントにこじらせているのか確認すべく、自分が買ってきた愛しい服達を紹介していく企画「こじラグ(※こじらせラグジュアリー)」を始動させます。これがお買い物の参考になるかはわかりませんが…、世の買い物ジャンキーたちを安堵させられたら本望なのです(笑)。

いつか着ようかと仕舞ったまま、長い長いときが経ちました…

さて、35回目はLMアルティエリ(LM Altieri)のニットコートです。ちなみに、これもカシミア100%なんですが、このブランド特有の染めがなされているので、極上の柔らかさっていうのは今の時点では感じられません。着倒したら柔らかくなる気はしますが。

ちなみにコレ、今回の"こじラグ"を撮影するに当たってクローゼットを漁っている際に見つけた、"パンドラの箱"ともいうべきボックスに眠っていました。この箱の中には、当時相当頑張って買ってはみたものの、気分というか、時代というかに そぐわず着なくなってしまった名作たち、ポール・ハーンデン(Paul Harnden)やらケーシー・ヴィダレンク(CASEY VIDALENC)やら、マウリツィオ・アルティエリが手掛けていたカルペディエム(CARPE DIEM)と今回のLMアルティエリやらがたくさん眠っており、改めて開けた瞬間ノスタルジーに浸るとともに、いままで使ってきた金額に辟易し、卒倒しそうになりました……。

このニットコートは、当時ロスを訪れた際に いの一番で行ったマックスフィールドのセールで、隅の方に追いやられていたものを救出する感じで買ってきたんですが、こんだけカシミアを贅沢に使っているもんだからセールでも激高っ!

その後フレッドシーガルやバーニーズ ニューヨークに行ったり、クロムハーツで何か買おうかなんて淡い期待はすべて捨て去り、カードの枠を一切顧みず、清水ダイブを決めこんで、手に入れました。その後のロス道中が質素だったのは、ご想像通りです。

作りもアルティエリらしく変わっていて、各パーツによって織りの方向が異なっていたり、ririのジップが前だけでなく、後ろにも付いており、どちらをフロントにしても着られるデザインだったり。

当時日本では、フロントをフックで留めるラムズウールのニットを着ている方は見かけましたが、コレを着てる方には出逢ったことがなかったので、意気揚々と着こなしていた気がするんですが、なんとももったいなくて登場回数は少ないまま。そのうち気分が変わってしまい、例の"パンドラの箱"の中で長い長い眠りについてしまいましたとさ……。

でも、いま見てもメチャクチャ雰囲気あるし、最近はロングコートが気分なので、寒い日はコート下にレイヤードしてみるなんていうのもアリな気がしています。裾から、ちょっとだけこのコート見えてたらカッコイイような。となると、やっぱり足元はカルペディエム(CARPE DIEM)のブーツだよなぁ…。今度、腰据えてその辺りも引っ張り出してみようかな。

って、ウチにはどれだけ服や靴の類いが眠ってるのか……。1個見つけると、数珠つなぎでアレもコレもあったなって思い出す。新しい服を買う前に、その作業ができればブレーキになるはずなんですが、あら不思議。いまの空気や気分を鑑みると、どうしても新しい方に触手が伸びてしまうんです……。もう、職業病を遥かに越えた、何かしらの病だと自分でも気づいてはいるんですが、どこかに治せる薬はあるものでしょうか?

でも、その薬が効いたら、なんの取り柄もない ただのアウトレイジ顔なオジさんになっちゃうな…。ただ、開けた"パンドラの箱"の底には そっと潜む"希望"があるはずだから、頑張っていけるかも。

Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka

『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎

さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5