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LIFESTYLE 粋なオトコのシガー入門

「刑事コロンボにカットを学ぶ」

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スマフォーはシガーのカットにもこだわるべし!

ここ数年、ライフスタイル系メディアを中心に、シガーを取り上げることが多くなりました。皆さんも御存知のように、社会的には禁煙化へのシフトが日に日に強まっているわけですが、シガーを扱う側である販売店やバーで聞いてみると、ジワジワと日本のシガー人口は増加傾向にあるようです。

この傾向をいろいろと分析してみると、少なからず昨今のラグジュアリーブームがあります。しかし、服や時計、グルメやリゾートも、単純な情報発信だけでは一周してしまった感を拭えません。時代は今、いよいよ所作や嗜みといった本質を求めているのかもしれません。

ところでシガーというと、なにかと敷居が高そうに思えますが、何がそうさせるのでしょうか? 

まず、一般的なシガレット(普通のタバコのこと)との違いですが、じつはシガーには吸口がありません。ですから、ご自身でカットし吸口(吸う側)を作る必要があります。ちなみに、この吸口に当たる部分をヘッド、反対側の火をつける部分をフットといいます。

シガーのヘッドをカットして吸口を作るには専用のカッターを使います。これは数種類あり、シガーのコンディションや好みに応じて吸口の断面や形状を作ります。シガーを垂直に切り落とすのが「フラットカット」、上方から見たときにクサビ形に切り落とすのが「ウェッジカット(キャッツアイ・Vカットともいいます)」、トンネルを掘るようにシガーの口径より小さくクリ抜くのが「パンチカット」です。

このシガーの切り口を、まさにストーリーの切り口にした米国のドラマがあります。多くの方が最低でもタイトルを聞いたことくらいはあると思いますが、日本でも数々のマニアを産んだピーター・フォーク主演の「COLUMBO」シリーズです。

エピソードのタイトルは「殺意の斬れ味(原題:A TRACE OF MURDER)」。日本では新・刑事コロンボシリーズの第66話として放映された作品です。

ネタバレ厳禁であらすじをご紹介すると、事件は投資家セルツァが殺害されるところから始まります。犯人はこのセルツァと裁判沙汰のトラブルを抱えていた投資家仲間のカルバートを加害者にでっち上げようとします。

犯人が殺人現場に証拠として用意したのは、シガーのヘッドを切り落とした欠片の部分。カルバートは密輸入されたキューバ産の大きなシガーを吸うほどの愛好家なのです。

刑事コロンボを演じたのは、俳優のピーター・フォーク

例によってねちっこい話術で犯人の洗い出しにかかるコロンボ。しかし、何度となく容疑者であるカルバートと接するうちに、真犯人が別にいると確証を得ます。日頃、安葉巻を吸っているコロンボですが、さすがシガー愛好家です。カルバートがつねに❝ウェッジカット❞でヘッドを切り落としていることに気付くのです。

殺人現場に落ちていたのは、シガーのヘッドを❝フラットカット❞した破片。ですからカルバートが犯人では辻褄が合わないのです。

第66話はまさにシガーが嗜好品であることを物語る脚本ですが、コロンボマニアには中庸な作品と捉えられています。しかし、シガー愛好家にはこれほどおもしろい作品はないかもしれません。

text: Seiichi Norishige
photo: getty images



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