ギラつきを感じさせないレアなコンビ時計とは!?
さもすると腕元からバブル時代の匂いを漂わせてしまうコンビ時計。
ダブルのライダースと同じように、女性だとサラッと着けられるんですが、これが男性となると話は別。単刀直入で言うと、金無垢よりもだいぶ派手になるので、なんだかんだ扱いが難しいのです……。
それもあって、ヴィンテージの世界でも、人気はだいぶ落ち着いているのが実情。Rolex(ロレックス)の「DATE-JUST(デイトジャスト)」を中心に、お値打ち価格の個体が見つかるはずです。
それとは対照的に、「GMT-MASTER(GMTマスター)」のRef.1675/3、通称“フジツボダイヤル”のような、安定した人気を誇るモデルもいくつか存在します。
両者の間には、希少性のほかに使い勝手の面で大きな違いがあり、それが人気の差にも直結しているのかと思われます。特に茶系のRef.1675/3は独特のまろやかな印象であることから幅広い着こなしに対応してくれます。

今回ご紹介するのは、ヴィンテージロレックスのコンビ時計の中でもトップクラスの希少性を持つ、知る人ぞ知る名品「TURN-0-GRAPH(ターン・オー・グラフ)」です。
「ターン・オー・グラフ」の特徴は、スポーツウォッチとドレスウォッチの中間的な立ち位置で開発されたモデルであること。「SUBMARINAR(サブマリーナー)」のような逆回転防止ベゼルと装飾的なディテールを併せ持ち、このほかにもいくつかのバリエーションが存在します
コンディションまで視野に入れると、このクラスの個体と出会うこと自体が至難のワザですが……。ここでは敢えて、落ち着きのあるスタイリングに注目してみたいと思います。
コンビ時計のギラつきを感じさせないこの外装のポイント。第一に挙がるのは、とてもめずらしいコンビ仕様のスイス製リベットブレスにあります。

たとえば、これがジュビリーブレスになると、一気に典型的なコンビ時計らしい見た目になるのですが……。ケースとブレスレット繋ぐフラッシュフィットの素材がスレンレススチールであることや、きめ細やかに作り込んでいるリベットブレスの雰囲気も相まって、ギラつくどころか、上品な印象にまとめまっています。
続いてのキーポイントが、白いギョウシェ彫りの文字盤です。この年代だと、かなり焼けて黄ばんでしまっているものが多いので、これだけのコンディションを保っているのは稀も稀。

ここ最近、現行品の時計でも外装の仕上げにこだわった商品が増えていますが、高級感を求めるあまり、逆にチープに見えてしまうものを多く見かけます。その点、ヴィンテージウォッチは、職人の手仕事の素晴らしさが感じられるものが多く、上質な個体はそれこそ伝統工芸品のような美しさを醸し出します。
最後にケースに目を向けてみましょう。この時代のロレックスはいわゆる“バブルバッグ”と同じムーブメントを搭載していることから、ケースはやや厚めです。Cal.A260は、精度・耐久性ともに優れた1500番系のムーブメントと比べるとデリケートなので、その点はご注意を。

コンビ時計への先入観を壊してくれる、ヴィンテージロレックスのスペシャルピース。お値段もそれなりにしますが、異様に高騰しているスポーツウォッチの人気モデルと比べれば、これでもお値打ち価格なのかもしれません。
それこそセカンドウォッチのように、定番モデルと数本持ちで使い分けると、その都度クルマを乗り換えるような新鮮な気分が味わえるはずですよ!
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text: FORZA STYLE