自分好みのエイジングを探すのがココでの正解です!
この数ヶ月、相場が落ち着いているように見えたヴィンテージロレックスですが、ここに来て、“手巻きデイトナ”をはじめ、一部のスポーツウォッチの価格が高騰しはじめています。
相変わらず極上の状態を保っている個体の動きは早いのですが、その一方で海外のオークションなどの動向から、マニアの間で“トロピカル”と呼ばれているエイジングの評価がさらに高まっているように見受けられます。
今回ご紹介するのは「Explorer(エクスプローラー)」の初期にあたるRef.6610の個体。完全に好みが分かれるところですが、後続機であるRef.1016の高年式のモデルと比べると、ヴィンテージウォッチとしてのオーラが明らかに違いますよね?

最近、現行モデルでも外装の仕上げが注目されはじめていていることから、密かにエナメルダイヤルがブームだったりと昔の技法が見直されていますが、ことクオリティに関しては、ヴィンテージウォッチの方がはるかに上であることは火を見るよりも明らかです。
特にこの時代のRolex(ロレックス)のミラーダイヤルは、“漆黒”という形容がふさわしい見事な艶感があり、極上の個体が放つオーラはまさに絶品です。コピーが不可能に近いことからもプレミアが付くのは必然だと言えるでしょう。
経年変化による文字盤の枯れ具合もまた独特。これは時にはプラスの評価に繫がることもあれば、真逆に評価を下げてしまうことも多々あります。


年式が古いRef.6610の場合、不可能とまでは言わないにしてもピカピカの文字盤と出会える可能性は低いのが実情です。
そこで購入を失敗しないための着地点を設けるとするなら、個体としての評価をキープできる範囲で、自分好みのエイジングをどこに定めるか。話はこの一点に尽きるかと。
この個体の場合、ミラーダイヤルの艶がだいぶ抜け、ゴールドカラーのブランド表記や針、ミニッツサークル、インデックスなどが強調され、いかにもヴィンテージらしい雰囲気を醸し出しています。
シンプルなデザインが魅力の「エクスプローラー」ひとつとっても、年式とエイジング次第でここまで変わるのが、ヴィンテージウォッチの醍醐味。正解はあってないようなものなので、じっくりと自分好みのテイストを吟味していただけると幸いです。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE