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FASHION 僕が捨てなかった服

スタイリスト小沢 宏 第4回 「グッチ」のスエードジャケット

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

男服の醍醐味、経年変化も楽しめるグラマラスなジャケット

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ります。トップバッターのファッションエディター山田恒太郎氏に続き、10回にわたり、スタイリストの小沢 宏氏が膨大な数の所有してきた服の中でも捨てられなかった服をご紹介する企画、第4回は「グッチ」のスエードジャケットです。

このグッチのジャケットは、2000年代初頭に、当時よくバカンスで訪れていたハワイはオアフのアラモアナショッピングセンターで購入しました。その頃のグッチは、トム・フォードがクリエイティブ ディレクターを務めており、グラマラスなその世界観に魅了されたものです。

前回も書いた通り、才能あるデザイナーは、時代や年齢、携わるブランドなど様々な要素が重なることで、その才能がスパークすることがある。その代表例がグッチ時代のトム・フォード。彼自身は、サンローランなどを経て、現在は自身の名を冠するブランドのクリエイティブ ディレクターを務めています。いまだに彼の時代のグッチファンは多く、僕もこのジャケットを購入して15年程経った今なお、頻繁に着ています。このジャケットにタートルニットを着て、というのが僕の定番的な着こなしです。

太目のラペルや長い着丈、深く入ったベント。いかついショルダーライン、そして袖口の5つボタンと、いかにもトム・フォードらしいグラマラスなデザイン。ちょっと大げさなディテール使い、というのが特徴です。グッチはイタリアのブランドですが、トム・フォードはアメリカのテキサス州出身なんです。当時、アメリカでは時を同じくしてラルフローレン パープルレーベルが誕生したのですが、あのアメリカン クラシックスタイルともまた異なる野性味のあるセクシーさがトム・フォードらしい。

アームホールは狭いけれど、袖の振りが綺麗で動きやすさが確保されている仕立てなど、随所にさすがだなというこだわりも感じられます。そしてなにより、このスエードの重量感。かなり重いです。今ドキは軽量の服がモテはやされていますが、僕は逆に、重いとか硬いって実は重要なファクターのひとつだと思っていて。着ていくほどにシワやヨレが出て、自分らしく馴染んでいく昔ながらの『洋服』が好きなんです。

このジャケットもガンガン着こんでいるので、スエード特有のアタリやテカりが出てきていて、それもいい味に。たまに「どこの古着?」って聞かれるとニンマリしながらタグを見せる、という服好きならではの行動をしています。

Photo:Riki kashiwabara
Text:Yoshie Hayashima
Edit:Ryutaro yanaka

小沢 宏
スタイリスト、デザイナー
1964年、長野県生まれ。大学在学中に雑誌『POPEYE』のスタイリストアシスタントとしてキャリアをスタート。『POPEYE』を始め『BRUTUS』『Huge』『Uomo』『Men’s Ex』など様々なジャンルのエディトリアル スタリングを手掛ける。またデザイナーやプロデューサーとして数々の企業やコラボブランド、自身のブランド「オザワヒロシ エディストリアル」を手掛ける。2017 年は自らのブランドに加えて更に新しいプロジェクトにトライすることになりそう。「転がる岩に苔は 生えない」を信条に今年も転がり続けますよ!



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