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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
日髙夏子のこじらせ映画評

ドラッグクイーンの生き方から自己愛を学ぶ❤ 番外編

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ファッションが心にもたらすパワーとは?

FORZA STYLE読者のみなさま、こんにちわ!

こちらの連載では映画へのこじらせた愛を存分に発揮させていただいている私ですが・・・今回は番外編として、もう一つ、私が愛してやまないエンターテインメントをご紹介します。
それは、「ミュージカル」!
ミュージカルと聞くと、何故か急に歌い出したり踊り出したり、理解不能なくさい言葉で愛を奏でたり・・・となかなか特殊な世界を想像してしまい、FORZA読者の皆さんの中にはハードルが高いと感じる方も多いのでは? そんな貴方にこそオススメしたいのが、今回ご紹介する恋人「プリシラ」です!

今回の恋人は「プリシラ」

現在日生劇場で公演中のこの作品ですが、主人公は3人のドラァグクイーン。
そして、このポスター。

Photo by Leslie Kee

これを見ただけで、目が眩んでしまいそうですよね。
そう、この作品はただのミュージカルではない。まさにエンターテインメントの全てが詰め込まれたショーなんです! ミュージカルはちょっと・・・と食わず嫌いをしている貴方! その眩んだ目で、ステージも見てみちゃいましょう!

舞台はオーストラリア。シドニーに住むドラァグクイーンのティック(芸名:ミッチ)は、最近何だか不運続きで仕事も私生活もパッとしない日々。そこへ、別居中の妻・マリオンから急に連絡があり、砂漠の真ん中にある街アリス・スプリングスにあるカジノで急遽パフォーマンスをすることになります。ティックは、若い夫を亡くしたばかりで落ち込んでいるトランスジェンダーのバーナデットと、若くて美しいけれど、とっても生意気なアダム(芸名:フェリシア)を引き連れて、ショーに参加することに。カジノに向かうために1台のど派手なバス「プリシラ号」をチャーターし、砂漠を縦断する旅に出ます。

道中、ティックは二人にずっと秘密にしていた、自分の息子について告白します。実は、ティック自身も息子の存在を知りながら、まだ会ったことが無い。息子はこんな自分を受け入れてくれるのか、ショックを受けてしまうんではないか・・・と息子と対面するかどうか、ティックは悩みながらも珍道中は進んで行き・・・というストーリーです。

実は、この作品は映画が原作。低予算で作られた映画がまさかの大ヒットを記録し、今ではブロードウェイはもちろん、世界各国でミュージカルとして上映されています。ついに日本にも満を持して初上陸! ということでドキドキしていましたが・・・予想以上の楽しさで、今までミュージカルとは縁遠かった方にこそ、最初の一歩として見ていただきたい作品でした!

まず何よりも、登場するドラァグクイーンたちがとっても魅力的。全編通して、ギラギラのスパンコールを身に纏い、頭がもげるんじゃないかと心配になるようなカツラ、体重を支えられるのか? 謎の耐久性を誇るハイヒール、そして目がどこにあるかわからないほどバサバサのつけまつげ。もう、誰が誰だかわかりませんが、そんなファッションを見ているだけでも面白い。主役のティックの衣装は22着もあるそうです!

そして、彼女たちが歌う曲はマドンナの「マテリアル・ガール」やドナ・サマーの「ホットサマー」など、聞いただけでテンションがあがってしまう名曲ばかり。思わず貴方も心が躍って自然と口ずさんでしまうのではないでしょうか。

そんな彼女たち(彼じゃないですよ、彼女ですよ!)が彩るステージは、ただひたすらに明るくて華やか。その華やかさには、ただの煌びやかな演出だけではない、もう1つの理由があると感じました。それは、トランセクシャルという社会問題をテーマにしていながらも、決してそれをシリアスには扱わず、1つのキャラクターや1つのエピソードとして、彼女たちの持つ強烈な個性として描いていることです。

彼女たちの歌や踊りには、自分が自分らしく存在出来ているこの時間をかみ締め、謳歌しているからこそ発せられるパワーと美しさがある。これは、自分を受け入れることが出来て、思いっきり解放した時に放つことの出来る美しさです。それが眩しくて目が眩んでしまう私は、きっとまだまだ自分自身を解放出来ていないのだろうなぁ・・・と思いました。

貴方はこんな眩しさと向き合える自信がありますか?

そう、今回の恋人から学んだことは「自分を受け入れること」です。

ドラァグクイーンたちは、産まれながらに人よりも多くの苦しみを葛藤を抱えていると思うんです。そこには私には計り知れないような、とてつもない闘いがあったはず。でも、それを乗り越え、自分を受け入れられたからこそ、彼女たちは本当に強い。どんなことも前向きに乗り越えて来た時に養ったパワーがあるから、このステージを見ると、何故か私たちまでポジティブになれてしまうんですよね。

そう、この作品はただのショーでは終わりません。

そのショーの裏側に何があるのか。華やかなスポットライトが当たる彼らの裏には何が隠れているのか、いえ、何をスポットライトの光にまぎれさせて隠しているのか? そんなことを考えながら見てしまう作品でした。一概にドラァグクイーンと言っても、その背景は様々ですよね。1人1人ここまで歩いてきた道がある。それを隠す人もいれば、隠さずに言葉にできる人もいる。

それはドラァグクイーンだって私たちだって同じですよね。きっと彼女たちは、こんな過剰とも思えるファッションや華やかなパフォーマンスの眩しさで男性である自分を隠し、女性であるということを精一杯アピールしているのではないでしょうか。

さらに、彼女たちはその分厚い化粧で、自分の中にある不安や弱い自分を隠しているのかもしれません。よく、男性はネクタイを締めるとビジネスマンのスイッチが入ると言いますよね。それと同じ役割が、彼女たちにとってのメイクやファッションだと思うんです。実際、私自身も辛いことがあったり涙を流した次の日は、いつもよりもメイクやファッションをきちんとするようにしています。

NEXT>>>日髙夏子が「女性でよかった」と思えた瞬間とは?







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