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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION こじラグ

第28回 高貴になりたくて ロロ・ピアーナのパープルジャケット

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自分が本当にイイと思う、一流品を買い集めていたら、無類の服好きが集まっているはずの編集部内でも「買い方がおかしい」「こじらせてる」と。自分じゃ、至極普通だと思っていたのに…。ホントにこじらせているのか確認すべく、自分が買ってきた愛しい服達を紹介していく企画「こじラグ(※こじらせラグジュアリー)」を始動させます。これがお買い物の参考になるかはわかりませんが…、世の買い物ジャンキーたちを安堵させられたら本望なのです(笑)。

ネペンテスに憧れてきたオトコとしては、紫をカッコ良く着こなしたい訳で…

さて、第28回めはロロ・ピアーナのカシミアジャケットです。また、ロロ・ピアーナ? そう。またまたカシミア? そうそう。紫? えっ、ダメですか?? でも、ほら。あのヒトが設定したとされる冠位十二階だと、最も高貴とされる色といったら"紫"ですよね。あの…、厩戸の前で出生して、10人の話を同時に聞けて、十七条憲法を定めて、紙幣にもなった、例のあの……。まぁ、いいや。

若かりし頃からネペンテス(NEPENTHES)に憧れてきたオトコのコとしては、"紫"をカッコ良く着こなすっていうのが目標だったんですよね。それは、ヤンキーが紫の特攻服着たり、工藤静香がビッグショルダーの紫スーツを纏ったり、オバちゃんが髪を紫に染めるのとは、訳が違うんですよ。

ちなみに、日本人の白髪って純白ではなく、少し黄ばんだ色をしているので、何もしないとあまり綺麗に見えない。だから、反対色である紫を入れることで黄みをカバーし、ツヤのある白髪に見せるんだそうです。って、どうでもいいわ!(笑)

話をクルリンパと戻すと、"紫"をカッコ良く着こなそうにも、綺麗で品が良く見える"紫"って、メンズではそう多く展開されないんですよ。でも、そこは天下のロロ・ピアーナ! 得意のカシミアをこれでもかってくらい上品な"紫"で仕上げてくるんですよね。たまらん。

ただ、高貴な色であるはずなんですが、上記の如くイメージが良くないのか、それほど売れないんでしょうね。しかもジャケットですから、下手に手を出すと、売れない演歌歌手か、地方のソッチ系のヒトにも見えがちだし…。

"ホントは素晴らしいのに、手を出しづらい"。可愛いのに、乗りこなしづらいジャジャ馬とあらば、巧みに乗りこなしたくなるのが、オトコの性。お安くもなっていましたし、好機逸すべからず。よし、いっちょ いてこましたろうかと、今回も清水ダイブです。おっと高貴を目指すべきが、お口が過ぎました。

ただ、実際に着てみると全然着やすいんですよ。段返り3つボタンのオーソドックスなカタチですし、パッチポケットでカジュアル感もあります。しかも、素材は申し分なく上等なので、表情も柔らかい。

ジャケットではありますが、カーディガンを羽織るような感覚で着ることができるんです。このリラックスな感じって、まさに今の気分! でも、そうなると、街には似たようなネイビーやらグレーのニットジャケットを着た方々が溢れるんですよね。

しかーし、僕のは"紫"! しかも、ロロ・ピアーナのカシミア。文字通り、周囲と差をつけられるんですね。ただの自意識過剰な気もしてますが…。

そして、これ滅茶苦茶温かいんです。よっぽど寒い日以外はコートいらないくらい。いつものシャツ例のカシミアニット重ねて、これ羽織ったら電車やビル内では汗ばむほど。だから、街行く人々がコートだぁ、ダウンだぁって寒がってるときでもジャケットとストールのみ。

これ着てる日はいつも以上にチラチラ見られるんですが、寒そうに見えるのか、はたまた"紫"で危険そうに見えるのか……。自分で選んでおきながら、冷たい水が右の頬を伝うのはなぜでしょう。あら、雨かしら…?

 

 

おや、なんだか目の前、いやアタマの中がモヤってきたかも……

 

 

って誰が、飛鳥だっ! あっ、聖徳太子か。

Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka

『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎

さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。



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