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FASHION 僕が捨てなかった服

スタイリスト小沢 宏 第3回 「ディオール オム」のスクールマフラー

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

一筋縄ではいかないファニーな表情に惹かれて

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ってることにします。トップバッターのファッションエディター山田恒太郎氏に続き、前回からは10回にわたり、スタイリストの小沢 宏氏が膨大な数の所有してきた服の中でも捨てられなかった服をご紹介する企画、第3回目は「ディオール オム」のスクールマフラーです。

才能のあるファッションデザイナーは時代や年齢、携わるブランドなど、いろんな要素がマッチした時にとてつもなくスパークすることがあると思います。 エディ・スリマンにとってディオール オムとの関わりは正にそれ、でした。ロックテイストに溢れ、繊細な少年を思わせる彼の生み出す服は、なかなか僕自身が取り入れられるものがなく、毎シーズン見るだけ、で通り過ぎていたのですが……。ある時、ちょっとトラッドっぽいな、と手に取ったのがこのマフラーでした。

ミラノやパリコレクションで海外を訪れる度に、コレクションを見たりショップに足を運んだりしつつも、なかなか自分にフィットするものはない、と思っていたので、これを見つけた時には「おお~」と心の中で叫びました。エディ・スリマンがディオール オムのデザイナーを務めていたのが2000年から2007年ですが、その後期のものだったかと思います。

色や柄からしてもいかにもですが、タグにはMade in Cambridge, England(メイド・イン・ケンブリッジ, イングランド)と書かれていて、おそらく本場英国パブリックスクールのスクールマフラーを作っている所のものじゃないかな、なんてところに惹かれます。素材も極上っていうのではなく、普通のウール素材ってのも本物っぽくていい。

このマフラー、アイテムとしては一見とてもオーソドックス。でも、なんと3メートルくらいの長さがあるので、普通に巻けないんです。知恵を使わないと使えない。だから気軽に巻くっていう訳でもなく、最近は出番も少ない…。その辺りも片思いをしているような微妙な感じで好きなんですね。ちょっとファニーな表情の手強い相手。そんなところが捨てられない理由だったりするのかもしれません。

Photo:Riki kashiwabara
Text:Yoshie Hayashima
Edit:Ryutaro yanaka

小沢 宏
スタイリスト、デザイナー。1964年、長野県生まれ。大学在学中に雑誌『POPEYE』のスタイリストアシスタントとしてキャリアをスタート。『POPEYE』を始め『BRUTUS』『Huge』『Uomo』『Men’s Ex』など様々なジャンルのエディトリアル スタリングを手掛ける。またデザイナーやプロデューサーとして数々の企業やコラボブランド、自身のブランド「オザワヒロシ エディストリアル」を手掛ける。ここ何年もクリスマスは自宅で。だって、良いレストランほど普段に通った方がきっちりしたモノをちゃんとサービスしてくれるから。インスタグラムでは料理上手と思われているが、単に家事としてこなしているだけ。だから今年のクリスマスも特別感なく普通の メニューにするつもり、な52歳の冬。



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