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【部下の女子社員から、好意を寄せられて迷っています】哲学お悩み相談所。

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女性は男を喜ばせることを言う

日本の哲学者小川先生だからこそできる、哲学的・お悩み相談室!さて、今回の相談者のお悩みを紹介しましょう。

今回は、部下の若い女性問題で悩んでいる男性からの難問ですよ! 哲学者の小川先生はどう答えてくれるのでしょう?

妻と別れて部下と再婚はアリですか?

小川先生、こんにちは。50代半ばの中年オヤジです。

数か月前にうちの部署に異動してきた若い女子社員がいます。少し派手目なんですけど、美人でセクシーな男好きのするタイプの26歳です。

単なる勘違いかもしれませんが、その子が上司であるこの私に気があるようなのです。すごく褒め上手で、何度か高級レストランに食事にも行きました。彼女のことしかアタマにない状態になっており、妻子と別れてその子と再婚している自分を考えてしまうこともあります。

肉体関係には至っていませんが、時間の問題であるような気がします。妻とはお見合い結婚だったので、こんな気持ちは初めてです。真剣に悩んでいますので、アドバイスをいただけたら幸甚です。

いろんな女性と付き合って、本質を見抜け

妻子ある男性が奥さんと別れて職場の若い女性と再婚するべきかどうか。これもよく耳にする悩みですね。26歳の美人でセクシーとあれば、たしかに舞い上がるのもよくわかります。

しかもいつも自分のことを褒めてくれる。そりゃあ気があると思うのも無理ないですよね。たいていの中年は奥さんに怪訝にされ、褒められるどころか毎日けなされているでしょうから(いつも書きますが、うちは違いますよ)。

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でも、少し冷静になってくださいよ。まずお二人はそもそも付き合っているのかどうかもあやしいですよね。何度か食事に行ったといっても、それは上司だからやむを得ず行っているのかもしれません。好きだといわれたといっても、それだってどういう意味で好きなのかわかりませんよ。
好きという言葉には、恋人のことが好きからペットが好きまで相当幅がありますからね。肉体関係だけがすべてじゃないというのは同意しますが、今時そういうこともなしに再婚まで考えるなんて、やっぱり非現実的なのではないでしょうか。

フランスの哲学者ルソーは『エミール』の中でこんなことをいっています。

「恋する男にとっては、相手がどんな身なりをしていても、そんなことはどうでもいい、相手もかれのことを考えていることがわかればいいのだ」

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つまり、相手が自分のことさえ思ってくれていればそれで十分。男はそんなふうに思ってしまうんですよね。ああ、男とはなんという単細胞なのでしょう! 優しく褒めてくれればそれでいいだなんて。でもね、ルソーはこうもいっているんですよ。

「男性は知っていることを言うが、女性は人を喜ばせることを言う」

いやーこれはショックですよね。でも、私の経験からもそういう傾向はあると思います。皆が皆そうだとはいいませんが。

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では、なぜ女性はわざわざ男性が喜ぶことをいうのか? それは裏があるからに決まってるじゃないですか。何かを狙っているのです。おねだりです。キャバ嬢はそれが仕事なのでもちろんですが、部下はおろか、小学生の娘に至るまでおねだり上手です

考えてもみてください。相談者さんは自分でも認められているとおり、ただのおっさんですよ。同じ50代半ばでも福山雅治じゃないんです。

私も人生かなり色んな目に遭ってきましたからよくわかります。こういうのは経験でわかるものです。失礼ですが、相談者さんは少しご経験が浅いような印象を受けます。これもルソーの言葉です。

「世の中で生きるには、人々とつきあうことを知らなければならない」

ですから、もっといろんな女性とつきあって、本質を見るようにしてみてはいかがでしょうか。なにもいきなり奥さんと別れて再婚しなくてもいいように思います。ちなみにルソーはその派手な女性遍歴で有名なのですが、だからこそ含蓄のあることがいえるのでしょう。ちょっとルソーの声に耳を傾けてみてください。

Text:Hitoshi Ogawa
Photo:雪ボタン、©gettyimages

【小川仁志】
1970年京都市出身、京都大学法学部卒。伊藤忠商事に入社するも退職し、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所に入庁。その後名古屋市立大学大学院博士後期課程を修了し、博士号取得。2015年には山口大学国際総合科学部准教授となる。専門は公共哲学、および政治哲学。商店街で哲学カフェを主宰するなど、市民のための哲学を実践している。哲学に関する著書多数。

 



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