BUSINESS ― SONY元異端社員の艶笑ノート

大事なことはみんな女が教えてくれた

【本当にあったドラマのような話】女上司を「口説いた」つもりが…

2017.7.12 2017.7.12
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2017.7.12

「何のことだよ」
「しらばっくれるな。俺、見たんだよ」
競馬場で二人でいるのを偶然見られていたらしい。壁に耳あり障子に目ありとはよく言ったものだと思った。見られたのでは仕方がないと思った。
「悪いこたぁ言わない。やめとけ」
「何でだよ」
「彼氏がいるから」
「ホント?」
「ウソなんか言うわけないだろ」
「でも、オレ、聞いてないよ」
「聞いてなくても本当だ。寮のやつらも知ってる」

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彼女は年上で社会人歴も長いから、彼氏くらいいても不思議はなかったが、そんな雰囲気は全く感じられなかった。
「みんなオレたちのこと知ってるのか?」
「それはまだ知らない。だから今のうちにやめたほうがいい」

どうして知ったのかわからないが、Mくんによれば、彼女はこれまでも浮き名を流してきた人で、ぼくが相手に出来るような人ではないという。
ぼくは口説いたいきさつを話した。

すると彼は言った。それは
「わざと口説かれてくれたに違いない」と。

反論の余地もなかった。

同期なのに、彼のほうがずっと大人だと思った。

その日もデートの約束をしていた。

待ち合わせ場所に来た彼女は、ぼくの顔を見るなり「どうしたの?」と言った。感情が顔に出ていたのだろう。

ぼくはMくんから聞いた話をした。

すると、色っぽい彼女の目からそれが消えた。
「誰がそんなこと言ったの?」
「同期の友達」
「信じたの?」

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ぼくは黙っていた。
「もし本当だとしても、私がいいならそれでいいじゃない」
「そんなこと言われても」
「あなたはどうしたいの?」
「付き合いたいけど……」
「けど、何よ」
「悪い気がするし」
「悪いかどうかは私が決めることよ」
「でも、彼氏がいるんだし」
「誰と付き合うかは私が決めることでしょ? 私が松井くんと付き合うっていえばそれでいいじゃない」
「でも……」
「でもでもって、何よもう! 女みたい!」

そう言い残し、彼女は行ってしまった。

ぼくは下を向くしかなかった。

翌日、彼女に会いに行ったが、その目を見て、全ては終わったのだとぼくは思った。

少しだけ大人の味がわかったような気がした。

Text:Masanari Matsui

松井政就
作家。1966年、長野県に生まれる。中央大学法学部卒業後ソニーに入社。90年代前半から海外各地のカジノを巡る。2002年ソニー退社後、ビジネスアドバイザーなど務めながら、取材・執筆活動を行う。主な著書に「本物のカジノへ行こう!」(文藝春秋)「賭けに勝つ人嵌る人」(集英社)「ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている」(講談社)。「カジノジャパン」にドキュメンタリー「神と呼ばれた男たち」を連載。「夕刊フジ」にコラム「競馬と国家と恋と嘘」「カジノ式競馬術」「カジノ情報局」を連載のほか、「オールアバウト」にて社会ニュース解説コラムを連載中。

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