ニット1枚着るのと同じ温かさなら、きっと割安……なはず
さて、第15回めはカシミアのニットキャップ。何度も書いているんですが、こんな顔してるのに繊維刺激にすこぶる弱いというワガママこじらせボディ…。さらに、汗っかきもプラスされるので、とにかくチクチクしてしまうウールの類いは、ほぼ着ることができません。とくに、熱が籠りがちなアタマにかぶるニットキャップは、ウールなんかを選ぼうもんならオデコ痒い痒いで、脱ぎ捨てたくなるほど。
かつては、コットンのものを探して言葉通りクタクタになるまでかぶっていたんです。今でこそコットンのニットキャップも充実していますが、以前は色やデザインのバリエーションも乏しく、特にメンズでカッコイイものを見つけるのはとにかく困難でした。グッドイナフ(GOODENOUGH)くらいだったかもしれません。
そんな折に、出逢ったカシミアのニットキャップ。最初は、たかだかニットキャップに高いお金を払うなんて、と渋ってみたんですが…、一度試したら、まぁ快適。今まで痒くなったオデコも全然平気だし、とにかくポッカポカ! 本当か定かではありませんが、「ニットキャップをかぶると、ニット1枚着るのと、ほぼ同じ温かさ」なんだそう。となれば、ニットを買うより断然お買い得! 気づくと我が家には、たくさんのカシミア ニットキャップが集っておりました。
今のレギュラーは、写真の8つ。最上部のポンポン付きはマーク・ジェイコブス(MARC JACOBS)で、柔らかいキャメルカラーで気に入っています。中段左のパープルは、ブルネロ・クチネリ(BRUNELLO CUCINELLI)、一層派手なオレンジとグレーのは、ジ エルダー ステイツマン(The Elder Statesman)、真ん中のネイビーは天下のエルメス(Hermès)。そして、下段の3つは、お得意のロロ・ピアーナ(Loro Piana)です。
秋冬って重衣料ですし、どうしても暗い色を着ることが多くなるので、ドヨーンとしがちじゃありませんか? そんなときに明るめなニットキャップをかぶると、アタマの黒さも消せるし、若干気分も軽くなるような気がするんです。そして、何より温かい。それと、髪セットするのがメンドくさい朝にはメチャクチャ便利なんです。だから寒い日には、ニットキャップが欠かせません。
ニットキャップ1枚で、ニット1枚の温かさですよ! カシミアの良いニット買ったら軽く5万円越えは確実、下手したら二桁乗ってきます。一方、ニットキャップなら1〜2万円程度で十分。上記のブランドだと、もう少ししちゃいますが…。そうやって考えると、何色かをバリエーションで揃えても、そこまでお金を使わないし、同じような格好になりがちな冬の装いに変化も与えられるので、一石二鳥にも三鳥にもなりえます。どうですか、買ってみたくなったでしょ?
そんな自己暗示に負けて、カシミアのニットキャップが家に溢れかえっているのは、ここだけの秘密…。しかも、カシミアニットもジャンジャン買ってるとあれば、世話がないんですけどね…。
Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka

『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。