こんな素敵な色と、着心地に出逢ってしまったなら…
さて、第12回めもロロ・ピアーナのコート。そう、悪夢のはじまり はじまりです(笑)。あるとき、キャメルのアウターを探している時期があったんです。あの優しく上品な色合いのキャラメルカラーなら、アウトレイジ顔な自分でも、柔和になれるのではないか?と淡い期待を抱いて…。ただ、みんな同じようなことを考えるもんだから、チェスターフィールドコートを筆頭に、ダッフルコートやスタジャンに至るまで、街にはキャメルが溢れ、ここはサハラ砂漠か?と見まごう事態に。

となると、僕の心に潜む天邪鬼が疼き出すわけです。みんなとは違う、他の素敵な何かを求めて…。そう、我々一生懸命、一生懸命捜しました。そしたら、ねぇお母さん! キャメルさん見つかりましたよ。またもロロ・ピアーナで。
もう出逢った途端にひと目惚れでした。なんでしょう、この美しいカラーリング。キャメルというか、エクリュ ベージュというか。しかも、良質で軽いとされるラクダの毛なんかより、遥か遥か上をいくカシミア、しかもロロ・ピアーナの。正直値札を見るのが怖かったんですが…、ここは恒例のアウトレット。ドキドキしながらもペラっとめくると、OH! やはり高額。しかし、そこには緑色のシールが。これが貼ってあると……、まぁ、そういうことです。ありがとう アウトレット。
なんとか無理すりゃ届く価格だったので、もう慣れた感じで清水ダイブ(笑)。我が家のクローゼットに招き入れました。
こちらのコートの魅力は、クルマに乗る際なんかも もたつかないショート丈。ジャケットを着た際にも丁度隠れる具合いの着丈なので、使い勝手が良く、海外を訪れるときに着て行くことが多かったです。また、バルマカーンタイプなので、チェスターフィールドより汎用性が高く、カジュアルに合わせるのも便利。タートルネックのニットはもちろん、パーカに重ねてフードを出して着たりもしています。
上品なカラーリングなので、グレーやホワイトのアイテムと合わせれば、こんな自分でもエレガントに見えますし、ロロ・ピアーナのカシミアですから、極上の着心地と温かさを約束してくれます。もう、これ着てたら、どんな寒空の下でもポカポカで、ウトウトしてきて……。なんだかとっても眠いんだ…、パトラッシュ……(笑)。
でも、本当にロロ・ピアーナのカシミア アウターって、着てると夢見心地になれるんです。はっ、もしかしたら その夢遊病状態のときにフラフラして、もう一着!なんて勢いで買い物をしちゃってるのか。気がつくとクローゼット内にドンドン増えている気が…。
あれ、これも、もしかしたら夢なのか??
Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka

『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。