干場:なるほど、クリーンな感じでいいですね。では、次の竹のニットをお願いいたします。ショールカラーなんですね。こちらはどちらのものですか?
無藤:これはアンドレア フェンツィというブランドのもので3万6000円です。
ビームスに入社した頃、まだイタリアンブランド、アルマーニ、ヒルトン、バグッタなどが全盛の時代に一世を風靡したニットブランドなんです。
干場:これは、知らないブランドです。ずっと続いていたブランドなんですか?
無藤:最近まで違う会社が経営していたのですが、あまりよくなかったんです。当時はビームス以外に、ザ・ギンザでも扱っていまして、ニット1枚10万円くらいしたんです。
干場:どんなブランドだったんでしょうか?
無藤:当時のイタリアンブランドらしい、肩が大きくゆったりしたシルエットの服、プリーツ入りのパンツなどに合わせるニットでした。スーツならアルマーニ、シャツならバグッタかパンチ、ニットならアンドレア フェンツィ、と言われるようなブランドだったんです。
干場:パンチっていうブランドも知らないんですが、どんなブランドなんですか?
無藤:シャツのブランドなんだけど、高番手のスケスケのシャツなんかを作っていたんです。それのボタンを3つくらい開けて着る、という(笑)。
干場:エロいですね! ちなみにアンデオレア フェンツィはピッティには出展していたんですか?
無藤:ずっと出ていたんですけれど、取引をするにはなかなか条件が合わなかったんです。またイタリアン クラシックの流れが来た時に、1度廃れちゃったんですね。シニア向けっぽくなってしまっていたんですが、2シーズンくらい前から経営が変わって、ぐっとよくなったんです。
色もベーシックカラーだけでなく、このニットのようにミリタリーグリーンとか面白いものを作るようになった。以前は融通が利かなかったけれど、サイズ展開など、こちらからのオーダーも聞いてくれるようになって。
このニットみたいなショールカラーっていうのも今年のキーワードのひとつになっていて、中にシャツを着てもいいんだけど、Tシャツとか入れて羽織ってプリーツパンツをはくと、大人のカジュアルになります。
干場:因みに僕だったら、どんな着こなしがおすすめですか?
無藤:中はやはりTシャツがいいんじゃないかな。白でもいいけど、黒いTシャツなんかかっこいいと思うよ。パンツも黒がいい。足元はスリップオンで。
干場:どんなスリップオンがいいですか?
無藤:今、スーツスタイルでもカジュアルスタイルでも一番多いのはタッセルのもの。スリップオンの中で、アメリカンスタイルを除いて、唯一スーツに合わせても許される、そんな表革のタッセルスリップオンなんかいいじゃないかな。
干場:ショールカラーって小さいものや大きいものがありますが、これは比較的小ぶりですよね・
無藤:これは小ぶりで、そのまま(衿を)折って着てもいいけれど、立てて着てもいいよね。ボタンはふたつ開けて、下も開けていいんじゃないかな。もしくは全部開けて羽織るだけっていうのもいい。
干場:これ、絶妙な色味ですよね! あまり見かけない色。
無藤:これより強いグリーンになるとミリタリー色が強くなっちゃって、アメ横の中田商店にあるような本物の軍ものっぽくなっちゃう。
干場:大人のミリタリーグリーンですね!
無藤:フィッティングもイタリアのファッションを意識したサイズバランスになっている。あ、指示したのは僕なんだけどね(笑)。