ファッション界の賢人が提案!干場に着させたい「松竹梅」

第7回 「コートの松竹梅」

2016.10.21 2016.10.21
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2016.10.21

干場:これもセンターベントでシンプルな形ですね。これ買ってもいいですか?(笑) さて、最後の松をお願いします。なんか、すごいコートが出てきたんですが……。こちら価格から伺いましょう。


ネップヤーンが表情豊かなカノニコ社の五大陸オリジナル素材を採用。ラグランスリーブ、比翼仕立てといった伝統的なディテールを踏襲したデザイン。バルマカーンコート 15万円(税抜)/五大陸(オンワード お客様相談室 0120-586-300)

赤峰:こちらは15万円です。五大陸の服はデザイナーと一緒にイギリスやイタリアを廻って、いろいろ見た中で生地も選定しているのですが、この生地はヴィタル・バルベリス・カノニコのものを使用しています。デザイナーが糸から指定して作っているオリジナル素材なんです。モヘアとアルパカとウールで、シャギーな素材感になっています。

干場:風合いがあって、いい素材ですね。

赤峰:これはラグランスリーブのコートになっています。この素材で、この価格はいいのではないでしょうか。普通の会社員にとって、コートで20万円以上って、現実的ではないですよね。こちらは五大陸の中でもトップクラスのライン、スタンダードアーカイブというコレクションのものなんですが、大丸東京店、阪急メンズ大阪などでは、このラインが特に売れています。

干場:なるほど。色に深みがあっていいですね。ブラウンですよね。黒も入っていますか?

赤峰:ブラウンに4~5色混ぜているんです。

干場:これ、普通の人が着こなすのは難しい……。難易度が高い! これは着る人の中身が問われてしまうようなコートですね。今までのものとは、まったく違いますね。

赤峰:先のふたつは日常の中でいうと、上と中の鮨、または定食っていう感じですよね。会社に毎日着ていくもの。でも、これはまったく異なりますね。

干場:着てみていいですか? こういうのが似合うようになりたい、という最終形のコートですね、これは。

赤峰:雰囲気がいいですね。

干場:これは映画の中に出てきそうなコートですね。こういうコートを着るときの着こなしのポイントはありますか?

赤峰:コートは下がりをつけるように着るといいですよね。前下がりがカッコイイ。襟がヌケちゃうのはいけない。コートで重要なのは後ろ姿だと思うんです。ウエストの絞りなんかに、女性とは違う色気を感じます。

干場:なるほど。男は背で語る、ということですね。

赤峰:映画『第三の男』のように、後ろ姿が決まっているのがいいんです。やはり色っぽい。女性からみてもいいと思うでしょ。

干場:それって何なんでしょう? 哀愁ですかね?

赤峰:そうですね。男の人生を感じさせるんでしょう。僕くらいの年齢になると、洋服が体に吸い付いてくるんですよ。

干場:吸い付いてくるんですか!?

赤峰:そう。着られている、というより、「洋服がこんにちは!」って言っている感じがする。近づいてくる感じなんですよ。かまぼこじゃないけど、板につくって言うことなんでしょうね。普通で無理がなくなってくる。

干場:このコートは赤峰さんのためにあるようなコートですね。

赤峰:干場さんだったら前を開けて着てもいいんじゃないですか。僕は襟はほとんど立てないんですが、そういう着こなしもいいですよね。

干場:最後に、今日の赤峰さんのコーディネートを教えてください。

赤峰:これは18年くらい前にアントニオのところ。イタリア・フィレンツェのリヴェラーノ&リヴェラーノで仕立てました。生地はトニックモヘアです。シャツはアカミネ・ロイヤルラインで、スイスのアルモの生地です。タイもアカミネ・ロイヤルラインでフレスコ生地です。チーフはアイリッシュ・リネン・カンパニーのものです。

干場:チーフの挿し方が変わっていますね。どうされているんですか?

赤峰:普通の4つ折りを中にして挿しているんです。

干場:これ、赤峰さん独自の挿し方ですね。初めて見ました! 靴はどちらのものでしょうか?

赤峰:45年くらい前のニュー&リングウッドのものです。大昔のものですね。
靴下はイギリスで購入したものです。パンセレラでしたかね。

干場:靴と靴下の合わせ方っていつもどうされてますか?

赤峰:いろいろありますが、グラデーションにすることが多いです。靴は黒で靴下はグレー、グレーのトラウザーズとか。靴下をアクセントにするというよりは、馴染ませるというのが基本です。

干場:茶色の靴のときはどうするんですか?

赤峰:トラウザーズがグレーで靴が茶のときは、靴下は黄色です。

干場:なるほど。今日の僕はこれでいいんでしょうか?

赤峰:いいですよ!

干場:なんか今日は緊張しますね(笑)。 赤峰さん、ありがとうございました。さて今日、赤峰さんに選んでいただいたコートなんですが、一番気に入ったのは松のコートです。なかなか難易度が高いので、このコートが似合うようになりたい、という目標の一着ですね。でも、今の自分を考えると、ネイビーのコートをシンプルに着るっていうのがリアルですね。僕自身、ネイビーのチェスターは持っているんですが、これは欲しくなりました。赤峰さん、今日は、非常にためになるお話本当にありがとうございました。

やはり、赤峰さんのお話を聞くと背筋がピンとなります。洋服は何が大事なのか? 洋服を作るときにどういう思いで作っているのか? 洋服を作るときに素材から作るという本質的な哲学。なかなか出来ることではありませんが、後世に伝えるべき大事なことだと思いました。また、ぜひいろいろと教えてくださいませ。よろしくお願いいたします。

Photo:Tatsuya Hamamura
Text:Yoshie Hayashima

赤峰幸生(あかみねゆきお)

メンズファッションディレクター。インコントロ主宰。
大手百貨店やセレクトショップ、海外テキスタイルメーカーなどのコンサルティングを行う。2007年、自らのブランドアカミネ・ロイヤルラインを立ち上げ現在に至る。クラシッククロージングへの造詣が深く、メンズファッション業界では知らない人はいない重鎮。いつもエレガントな装いで、海外スナップでもお馴染み。

 

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