群を抜く付加価値を持つ人気モデル
この数ヶ月、数年ぶりに相場が落ち着きはじめたヴィンテージロレックス。
市場には、これから価値が上がりそうなものと、そうでないものとの明暗がくっきり分かれそうなムードが漂っています。さらには、コレクターの心境の変化から、なかなかお目にかかれないようなお宝がザクザクと出てきそうな気配も?
今回ご紹介するのは、巡り合わせ、または出会いが不可欠な一本。ヴィンテージコレクター垂涎の通称“赤シード”、しかも文字盤がブラウンに変色した大変希少な個体をご紹介します。

値崩れしないことを考えると、ベタな高級車よりはるかに高い資産価値を持つこの時計。まずはその理由について、触れていきたいと思います。
ROLEXのロレックスのダイバーズウォッチと言えば、真っ先に「SUBMARINER(サブマリーナー)」の名を思い浮かべる方が多いかと思います。その上位機種として、1967年に登場したのが「SEAD-WELLER(シードウェラー)」のRef.1665でした。
このモデルの開発に大きく携わったのが、フランスの世界最大の潜水専門会社コメックス。「サブマリーナー」では耐え切れなかった深海への潜水を可能にするため、同社の協力のもと、「シードウェラー」は誕生しました。
「サブマリーナー」との性能での大きな違い。それは飽和潜水に耐え得るため、新たに時計内部のヘリウムガスを排出するヘリウム・エスケープバルブを搭載したことにあります。ケースはより分厚くし、高い水圧に耐え切るため、風防のサイクロップスレンズは採用されませんでした。
肝心の防水性はと言うと、当時の「サブマリーナー」が200m防水だったことに対して、「シードウェラー」は610m防水という記録を樹立しています。
プロユースのRef.1665は、「サブマリーナー」ではじめてカレンダー表示を採用したRef.1680よりも生産数が極端に少ないことに加え、最初期に当たるモデル名と防水性能の表示が赤で表記される“赤シード”となると、レア度が格段に跳ね上がります。

これだけでも十分な価値があると言うのに、この個体はマニア間では“マークⅡダイヤル”と呼ばれる希少な文字盤。なおかつ経年変化を伴って、ブラウンに褪色している点が希少性を高めています。
この変色は、ミラーダイヤルでよく見受けられるブラウン化と違って、割とキレイに焼ける場合が多く、独特の味わいがあります。
デニムのように履き続けることで味が出るならまだしも、時計の場合はそうはいきません。基本的に、よほど特殊な使い方でもしない限り、購入時のコンディションで楽しむものだと割り切って考えるが正解です。ですから、状態の良し悪しやエイジングに価値が生まれるのです。
希少性に比例して、この個体の市場価値は別格! ざっくりとした実勢価格は、このレベルとなると、350万円オーバーはくだらないRef.1680のブラウンダイヤルの2倍は見ていただいた方がアンパイかと。
でも、安心してください。乗った瞬間から値崩れするクルマと違って、ヴィンテージロレックスの場合、そのままの状態をキープできれば、そう簡単に値崩れすることはありません。価格の壁が重くのしかかりますが、ここで思い切って投資をしておくと、後々いいことがあるかも(笑)。そんなことを一切考えずに、ただ純粋に「好きだから」「欲しいから」という理由で買える経済力がある方はなお素晴らしい。
本当にいい時計を手に入れるためには勘所を読む力が必要不可欠。チャンスを掴むのも見逃すのも、すべてはアナタ次第です!
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE