ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION

世界で2社しか織れない
究極のフレスコタイ

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

独占インタビュー! ネクタイ界の鬼才ステファノ カウの美学

イタリア繊維産業の聖地、コモの地で、長年一流ブランドのネクタイのテキスタイルを手がけてきたドレス界の実力者、STEFANO CAU(ステファノ・カウ)。25年間、世界を股にかけて培われた経験から、色鮮やかなデザインに最高峰の品質と縫製を織りこみ、2008年満を持して自身の名を冠したブランドを立ち上げた。日本においても数多くのセレクトショップで展開されており、人気ネクタイブランドとしてその地位を確立している。そのステファノ カウ氏にサトシーノが独占インタビュー! 大変貴重な織り機で織られたという新作ネクタイの魅力と、自身のネクタイに対する美学を伺ってきました。

サトシーノ:はじめまして、今日はよろしくお願いいたします。今回すごいネクタイができあがったと聞いたのですが、早速ご紹介していただけますか?

ステファノ氏:フェルモ・フォサッティというネクタイを作っている工場とコラボした新製品なんですけど、今回120年前から使われている世界で2社しか所有していない「本物のフレスコ素材」を作る織機で生地を作りました。ほら、この透け感が美しいでしょ? ブラックやネイビーといったシックな無地色でも生地に凹凸感のある表情豊かなものを作りたかったのです。

サトシーノ:実は前職でセレクトショップのバイヤーをやっていて、ステファノ カウのネクタイも取り扱っていたんですよ。その時は、結構鮮やかな色を使っているネクタイが人気だったのですが、今回なぜシックなカラーのネクタイを作ろうと思われたのですか?

ステファノ氏:元々、ステファノカウブランドのベースには、ビンテージデザインが重要なキーワードになっています。その年代によってカラフルなネクタイも多く手掛けてきましたが、シックなカラーを意識する様になったのは、ネクタイ好きなら誰もが知っている、「フェルモ・フォサッティのガルザ」という生地に出会ったのがきっかけです。シルクの世界で唯一のものを表現するのはこれしかない!と思い今回このネクタイを作ることにしました。

最高級として名高い「本物のフレスコ」の魅力

サトシーノ:なるほど! ネクタイの世界でトップを走り続けるご自身が、辿り着いた境地なのですね。フレスコ素材と言えば、独特な肉厚でシャリ感のある夏場の最高級素材として有名ですよね。世界で2社しか織れない「本物のフレスコ」の魅力とその織り機の特性とはどんなものですか?

ステファノ氏:素材は厚みがありシャリ感もあるのですが、この様にしっかりと透けるのが「本物のフレスコ素材」の特徴です。他のシルクに比べると、生地も高級で比べ物がないほど最高ランクの生地を使用しています。

また普通の織機だと140㎝幅で生地を織れるんですけど、このネクタイを作る織機はたった70㎝幅で1m織るのに1時間も要するんです。織機の幅は70㎝しかないんですが、後ろに凄い奥行きがあって、その要所、要所に金具がゲートのように配置しているんです。そこに縦糸が捻られるようになっていて、その中に横糸が通る仕組みになっています。それによって独特の凹凸感が生まれるのです。

サトシーノ:確かに無地でも立体感ありますよね。このネクタイの太剣幅は何センチなんですか?

ステファノ氏:太剣幅は8㎝です。

サトシーノ:その太さにした理由はあるのですか?

ステファノ氏:国際的にもアメリカやヨーロッパにおいても8㎝が一番主流になっているんです。6㎝とかだとモードすぎるんです。クラシックすぎないベストな太さだと感じています。実際、日本のマーケットでも一番多く出回っていて、丁度良いサイズで、着用した時もしっくりくるんです。ほら、こんな感じ。

ステファノ氏がこだわるネクタイの巻き方

サトシーノ:確かにつけてみるとナイスバランスですね。素敵です! 今回の新作ネクタイを格好良く巻くコツやステファノ・カウさんのこだわりはありますか?

ステファノ氏:ポイントは、ツインノットで結ぶことです。やり方は簡単、通常のプレーンノットの要領で、太剣を2回まわすだけ。こうすることでノット(結び目)にボリュームができて、華やかな印象になります。さらに生地の凹凸感ができるので、今回のネクタイにぴったりな結び方だと思います。

サトシーノ:なるほど、確かにボリュームが出て綺麗に見えますね。

ステファノ氏:あと、小剣通しに小剣は通さずにあえてずらすようにしています。こうすることで動きがでて両方見えるでしょ? 完璧じゃないことが粋な着こなしに繋がるのです。

サトシーノ:小剣ずらしとは、流石のテクニック! イタリア人のお洒落の感覚が少しわかりました。完璧主義な日本人では成せぬ技ですね。ぜひ真似したいと思います。

ステファノ氏:あと、ここに付いているイタリアの国旗のかんぬきはこのブランドのアイコンにしているんです。これはオールハンドメイドで、付けるだけで一ヶ月、1000本しか作れないんです。よくみると、同じ幅じゃなく一個一個違う表情になっています。これもハンドメイド特有の個性なのです。

サトシーノ:この国旗のかんぬき、すごく気になってました! さりげなくてお洒落ですよね。オールハンドメイドとは恐れ入りました。本当に細部までこだわりが凄いですね。

ステファノ氏:小さいけれどすごく存在感があるし、若々しい印象になるんです。

サトシーノ:フレスコ素材って夏向きな印象ですが、このタイはオールシーズン使えますか?

ステファノ氏:もちろん! 生地がしっかりしたスペシャルな素材だから年中使えます。普通のネクタイに比べてこのシャリっとしたフレスコ素材は、クラシックなコーディネートはもちろん、今日のようなカジュアルなコーディネートでもバッチリ合うんです。

サトシーノ:ステファノ カウと言えば、ビースムや伊勢丹、それにユナイテッドアローズ、トゥモローランドなど有名セレクトショップでも取り扱われていますよね。今シーズンは、エディフィスでも展開と、まさに日本中のバイヤーが注目する人気ブランドですから、このネクタイは、かなり注目度も高いし、即売り切れそうですね! いくら位で販売される予定ですか?

ステファノ氏:仕様によって異なるのですが、裏地が共裏になっているもので1万4000円程度です。この生地と織りを見れば、この価格がいかにリーズナブルかがわかっていただけると思います。

ステファノ氏が考える日本におけるビジネスマンのファッション感

サトシーノ:その価格なら、買いやすいしプレゼントにも良さそうですね! 日本のビジネスマンのスーツスタイルの印象を教えてもらえますか?

ステファノ氏:ちょっとくたびれたスーツを着てる悲しそうな人と、ファッションにこだわりを持って頭の先から爪の先までこだわって生き生きとスーツを着こなしてる人の2タイプに分かれますね。細部までこだわりを持ってスーツを着こなしているのは、世界でもイタリアと日本しかないんじゃないでしょうか。他の国のマーケットでは、マス向けなデザインや値段を気にするとこが多いのですが、日本のショップは常に新鮮で新しいものに興味がある取引き先が多くて、毎回刺激になります。それだけ、ファッション意識が高いビジネスマンが多いのだと思いますよ。

サトシーノ:具体的にどんなところでそれを感じますか?

ステファノ氏:以前、伊勢丹でブランドのトランクショーをやったことがあったんですが、その時もお客様から、「これはどうやって作っているのですか?」「どんな生地ですか?」と、沢山の質問を受けたのが印象的でした。何かを買うのに、どういうものかということ考えながら買い物をしてるのが素晴らしいですね。他の国では、必要に迫られて買うという人が多い中で、ファッションに対する情熱を感じるのです。常に新しいものを求めているので、私も常にクリエイティブでプロフェッショナルなものを求められています。悲しそうなスーツ姿の人もいますが、ビジネスマンの服装に対する意識の高さは、世界においてもかなり上だと思います。

サトシーノ:服作りにおいて日本とイタリアのスタイルの違いは?

ステファノ氏:ミラノは、モードなタイトフィットシルエットが基準で、ナポリは、贅沢な素材と手仕事に凝っていて、クラシックで緩いシルエットが基準です。その両方を掛け合わせたのが日本のスタイルとなっていますね。私は、体が細いのでイタリアであまり買わず、日本で買う事が多いんですよ。日本のセレクトショップオリジナルの完成度はデザイン、素材、カラー選び含めて本当に素晴らしいと思います。

人生の一部ともなるネクタイの真意

サトシーノ:ファッションスタイルにおいて、ネクタイはどんなものだとお考えですか?

ステファノ氏:例えば、スーツがネイビーからグレーに変わるよりも、ネクタイだけが変わる方が、人の印象はずいぶんと変わります。同じスーツを着ていても印象をガラリと変化させるキーアイテム。ファミリービジネスとしてもネクタイをずっと扱っていたので、私にとっては人生の一部で最も大切なものなのです。

サトシーノ:たしかに、スーツよりもネクタイに目がいきますよね。ビジネスにおいても、第一印象を左右する大切なアイテムだと思います。今されているのもステファノ カウですか? すごくお洒落ですよね! でも柄のネクタイを日本人が格好良くしてる人少ないと思います。上手く巻きこなすためのコツはありますか?

ステファノ氏:こんな風にデザインが大きくてもシックなカラーで地の色とあまりコントラストをつけないものを選ぶのが無難です。これなら無地の感覚で着けられるので抵抗がないはず。ステファノ カウのネクタイもその辺りを意識して柄ものを作っているので、ぜひ試してみて欲しいです。

サトシーノ:今日は素敵なネクタイご紹介していただいて本当にありがとうございました。

Photo,Edit,Text:Satoshi Nakamoto

【問い合わせ】
株式会社アルマニャック
03-5469-1051



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5