超破格!日本人初の“パンツ職人”尾作氏が手掛けた1万円台のスラックス
ファッション業界の賢人が編集長・干場に買わせたい逸品を価格帯別に紹介する連載第2回。ご登場いただくのは干場とも旧知のTHE RAKE JAPAN EDITION編集長・松尾氏です。お題はグレーのパンツ。二人ともグレーのパンツはかなりのバリエーションで所有してるそう。果たしてコンサバな干場も納得の逸品が登場するのか。
干場編集長(以下敬称略):長年、メンズファッション誌の編集に携わってきて、現在はハイクオリティを極めた雑誌「THE RAKE」の編集長を務める松尾さんですが、今回はどんなパンツをご紹介していただけるんでしょうか。早速ですがお勧めを見せていただきましょう。まずは梅からお願いいたします。

松尾氏(以下敬称略):m039のパンツで、1万9000円になります。
干場:こちらはどんなブランドなのでしょうか?
松尾:これは尾作隼人さんという日本で初めてのパンタロナイオの設計したパンツなんです。パンタロナイオって日本ではまだまだ聞き慣れない言葉だと思うんですが、所謂パンツ職人のことなんです。イタリアにしろイギリスにしろ一流テーラーといわれる所は、ジャケットは自分の所で作って、パンツは下請けの職人さんに出すっていうパターンがほとんどなんです。そのフルオーダーのパンツを作っているのが尾作さんなんです。現在はご自身のブランドを始めてフルオーダーで受けていらっしゃるんですが、その彼が設計したプレタのパンツがこちらなんです。
干場:確かに耳慣れない言葉ですね。このパンツにはどんな特徴があるんでしょう?

松尾:尾作さんによる日本人の体型を考慮したパターンを、日本随一のパンツ専門工場エミネントで作っているんです。よくパンツを平置きにした時にS字を描いているパターンがよいとされていますが、これはそれをさらに進化させているんです。人の脚はひざ下がしゃくれたようになっていたり、ふくらはぎが太かったり、と立体的ですよね。それらや歩行時のことを考慮した、美しくスマートなシルエットが味わえます。穿いた時のクリースの出方も美しいんです。ウエストやヒップ、太腿周りには適度なゆとりがあって裾に向かってテーパードをかけているシルエットは窮屈感がないんです。オーダオメイドのノウハウがよく生かされていると思います。また質感がとてもよく、日本製でこの価格というのは本当に素晴らしいと思います。
干場:窮屈感がないというのが我々世代には嬉しい。お腹周りとか気になるし、巷で流行りの細身のパンツは厳しい… そんな悩みに刺さりますね。それにしてもこの素材でこの価格はコストパフォーマンスがいいですね。
松尾:破格ですよね。オーダーメイドですと10万円は超えてしまいますし。国産パンツの概念を覆す1本だと思います。
干場:次の竹のパンツはどちらのものでしょうか?