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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine

NEXT40 注目のオトコたち VOL.02
ビームス 土井地博氏に訊く、今とこれから。[後編]

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上からも下からも両方から影響を受け続けられる 良い10年間を歩んでいきたい

90年代後半から隆盛を極めてきたセレクトショップ、そのプレスというポジションにつき、シーンを盛り上げてきた方々が40代を迎えようとしています。ファッションの最前線に立ち続けてきた、気になる注目のオトコたちが40代を迎えるにあたって考えていること、会社内での取り組みやプライベート事情までを、彼らと同世代でありファッションの編集者という立場で見続けてきたFORZA STYLEのシニアエディター谷中がヅケヅケと訊いていく連載企画。

2人目は、セレクトショップの雄「BEAMS」の社長室 宣伝広報統括本部 コミュニケーションディレクターとして活躍する、土井地博氏にインタビューを敢行しました。

「先輩から経験を学び、後輩から感性を学ぶ」

谷中:土井地さん個人としての目標は?

土井地:40〜50歳の10年は実際想像もつかなくて…、どんな風に仕事をしているのか分かりませんが、日々日頃のきっかけ作りをし続けたいですね。例えば、自分は絵が上手いわけでもないし、洋服のデザインができるわけでもない。ただ何が得意かと考えた場合、コミュニケーションじゃないけど、人と人とか、物と人、企業とブランドとを繋ぐようなこと。ビームスには今レーベルが約30ほどあるんですが、自分なりのフィルターを通したビームスの紹介の仕方っていうの強化させていきたいです。現場での仕事は他メンバーや部下に任せていますが、現場にいるのは大好きなので撮影に顔を出したり。それは、指示をしに行くというよりはお世話になっている方々にお礼を言いながら話をしながら、より良き関係性を築いていく。そういうことが重要だと考えています。

谷中:その辺は昔から上手いなぁと思いますし、いつも土井地さんのまわりには魅力的な方々が集まっている印象が強いですよね。

土井地:30代の頃って、後輩がいても、正直自分がやったほうが早いし上手くいく事もあるかと思います。ただ、今は自分の下を育てて、さらにオリジナリティを持たせるってことに快感を覚えられるようにきたので。例えば野球で言うなら、オーナーがいて、GM的な人がいる中で、自分はヘッドコーチ的な立場で、全員4番バッターでは試合には勝てないから、足が早い、守備が上手い、ホームラン打てるメンバーを集めて勝てるチームを編成するような座組み、作戦を立てていくようなことに従事する。そんなことが楽しくなってきていて、サラリーマン的な発想ですが…、そのチームで成功を収めた達成感はかけがえのないものになっていくと思うんです。

谷中:自分は、なかなかそのバトンが渡せなくてヤキモキしているんですが…。

土井地:ビームスって大きく成長したなぁって思う部分もあるんですが、他の会社に比べて「家族感」が強いんですよ。

谷中:それは強く感じますね。

土井地:例えばひとつお店を作る際、システム系がいて、VMDがいて、内装を手掛けるスタッフがいるとするじゃないですか? それぞれでやることがあって、自分の持ち場が終わったら普通仕事を引き上げるんですが、ビームスのスタッフは誰かが終わったら他の仕事を手伝うんですよ。これは色々な方が、いつもびっくりするんですよね。

谷中:いい社風ですね。

土井地:そういう部分から学ぶことも多くて、ヨーロッパの諺じゃないですが「先輩から経験を学び、後輩から感性を学ぶ」。当たり前ですが上から学ぶことが多い一方で、僕らも下から学ぶことはあるから、とにかくよく話すようにはしていて。これを強く意識しだしたのは、40代が目前になって、管理職に就き、経営という側面にも触れ、30代・20代の若い子たちの未来を背負ってるという責任感もでてきたから。上からも下からも両方から影響を受け続けられる、良い10年間を歩んでいきたいなと考えていますね。

谷中:とは言え、全部が上手くいって成功するわけではないですよね。土井地さんの感じるモヤモヤみたいなものはないんですか?

土井地:ありますよ、もちろん。僕らは小売している以上、物自体の価値観とその裏にある背景みたいなものを同時に伝えるべきだし、伝えたいと思う職業ですよね。だったら、よりお客様と接する機会が多いスタッフは、自分なりに消化した状態でいないと伝えられないはずなのに…、というジレンマはありますかね。

谷中:「そんなに良いなら、まず自分が買ってるはずでしょ?」ってのはありますよね。そこは編集者も同じで、誰よりも好きで、自分の身銭を切って買ってその本当の良さを伝えたいと思うはずなのですが、なかなか…。僕らは同じ世代ですが、ファッションの世界で今でも第一線で活躍してる人たちって、若い頃そういう経験をしてきていた人たちが多いと思うんですが。

土井地:そうですね。ただ、モヤモヤとしているのと同時に、あんまり心配はしていません。70年代、色々と社会が乱れていた時代の若い世代に対して「この世代がいずれ結婚して子どもを産んで大丈夫か?」といった不安視はあったわけで、でも若干の変遷はありつつも世の中は回っている。日本の教育は素晴らしくて、みんな読み書きができるっていうことも含めてですが、社会に出ると社会が教えてくれて、考えが変わったりすることがある。だから、長い目で見たらあんまり心配はしていないんです。

谷中:まぁ、なるようになりながら、上手く回っていくはずだと。

土井地:だから、ビームスとしては少しでも早く気付いてもらえるように、こういうツールを作って使うことで、社内で抱く欲というか、考え方というのも伝えたり、想起させたりしていきたいんです。宣伝というのは、外に伝えるという側面と、同時にインナーブランディングもしているので、社長がMr.BEAMSであるのは変わらないんですが、”ビームスらしさ”っていうのをあらためて作ったり、伝えたりしていきたいというのが目標です。

谷中:らしさのあるショップは楽しい。ぜひ実現させてください。今日はありがとうございました。

Text:Ryutaro Yanaka
Photo:Yozo Yoshino

土井地さんの仕事に欠かせない道具

オフィスでも出張先でも、絶対に欠かせないMacBook
予算管理をする上で必要な電卓と、メモとペンといったアナログツール
先日迎えた39歳の誕生日に、家族から贈られたSaint Laurentのリュック

 

 

土井地 博
ビームス 社長室 宣伝広報統括本部 コミュニケーションディレクター

大阪のショップスタッフを経て、プレス担当として上京。その後は、PRと宣伝広報の統括ディレクターとして、マーケティング戦略の立案や販促のプランニングを行う辣腕。







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