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短命で終わった傑作キャリバー「クロノマティック」とは?

「クロノマティック(Cal.11)」はベースとなるムーブメントにデュボア・デプラ社が開発したクロノモジュールを載せたものである。こうすることでベースが壊れた場合、もしくはクロノグラフが壊れた場合、すべての分解が必要なくなるという利点があるが、実際には世界初を目指したこと、新規開発の時間がなかったためだと思われる(個人的見解)。

ゼニスは遅れること半年後の9月に自動巻きクロノグラフを登場するが、こちらは完全な新設計のものであったためゼニスは「新設計による世界初の自動巻き式クロノグラフ」と発表した(ただし、SEIKOが5月に新設計でクロノグラフを発表しているため、世界初の新設計は実際にはSEIKOだと思うが)。

ホイヤー、ブライトリング、ハミルトンにおいてCal.11を搭載し「クロノマティック」という名前のモデルが各々で存在するのはムーブメントを共有していたためで、これを例えるならばビデオテープの「ベーターVS VHS」と同じ図式に似ている(ビデオを知る人しかわからないと思いますが)。

「クロノマティック」の特徴はリューズが左位置に設定されていることである。しかし、この話題のムーブメントも長くは続かなかった。ゼニスの「エル・プリメロ」には完成度では及ばず、また、その年にSEIKOが発売した「アストロン(クォーツ)」がスイス時計産業に大きな打撃を与えた。「クロノマティック」は短命で終わることになる(以来クロノグラフのリューズが左にある時計はレフトハンド以外姿を消す)。

「モナコ」2008年頃に復刻として発売。Cal.12搭載のためリューズは正位置に。オリジナルを現在のトレンドにて再現した。

日本では大ヒットした『栄光のル・マン』。1971年に公開されたこの作品は世界的には失敗した映画だったらしい。

日本では数年後に訪れるスーパーカーブームの到来を待たなくてはならないが、映画に出ていたポルシェがすでにミニカーになっていたりと、5歳頃の自分ではあったがなんとなく彼の記憶が残っている。

自分が『栄光のルマン』の映画を観たのは10代になってからで日本にはスーパーカーブームが訪れていた。ほとんどしゃべらない彼の寡黙な演技に心踊り、ホイヤーのロゴがついたガルフ・ポルシェチームのつなぎ(その右腕にはホイヤーの「モナコ」を装着していた)に憧れた。

ちなみに映画の中でレーススタートの方式は、ドライバーが車に駆け寄り乗り込むスタート方式(ル・マン式というらしい)なんだが、危険だということで70年に廃止されたため71年公開の映画では「シートに座りベルトを締めた状態」からスタートする方式になったんだけど、それも1年で廃止されてしまい、71年のレースからはローリング方式というものになった(車が走りながらスタートする)。

ともかく日本では大ヒット。そして、その映画の宣伝ポスターなどでも目立っていたのが「 モナコ」だった。
逆に言えば、時計に精通するものならば知らない者はいないといっても言い過ぎではないくらい知られている映画が『栄光のル・マン』なのだ(鑑賞しているかどうかというとかなり少ないと思うけど)。

実際に映画の中でレースに参加しているマックイーンが使うという点でも本物を意識させる。右腕にはめている点もリアルなんだな(マックイーンは左利きであるため右腕にはめている)。

時計の仕事を選んでから、時計に精通していくと、リューズが左にあるものは左利き用という一般認識があるから、『栄光のル・マン』のポスターにある「モナコ」は“左利き用”に作られたんだなと思っていた時期もあった。

色褪せない完成されたデザイン

ブルーの文字盤で知られるマックイーンが愛した「モナコ」。左から初代「モナコ」1969年、「モナコ スティーブマックイーン」2008年頃、「モナコ40周年記念モデル」2009年、「モナコ」2015年。初代のストラップは非純正。

⇒「モナコ」が発売以来、定番として認められる理由。
(次ページに続く)



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