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スティーブ・マックイーンが愛した時計

僕が彼と出会ったのは『タワーリング・イン・フェルノ』という映画。リバイバル上映で、高田馬場の名画座で『カサンドラ・クロス』と二本立て。そこにいた彼はまさしく消防署長そのもの。ひとつひとつの所作にいたるまで、なんとリアルに演じることか。それは演技ではなく、本物だった。

彼の名前は、スティーブ・マックイーン。

その所作はまさしくプロそのもの。プロだからこその行動が映画に映されている。もちろんそれは観客全員にわかるものでもない。僕も大人になってから知った彼のこだわりがたくさんある。今でも彼の映画を見続けてしまう理由がそこにはあるのではないかと思う。

俳優としての存在感ばかりでなく、ファッションから時計、クルマにいたるまで、後世に多大な影響を与えた名優スティーブ・マックイーン。

まだビデオも普及していなかった頃、自分は名画座を全国回まわり、彼の映画を求め続けていた。『ブリット』『ゲッタウェイ』『荒野の七人』では、本当に銃を使ったことのある人間像が描かれていた。『大脱走』『華麗なる賭け』では本人がコレクションしているバイクやクルマ、グライダーなどで飛び回る。彼自身がその道のプロ並ゆえに映画でのリアリティはやはり群を抜いていた。

彼は時計も自分の気に入ったものを映画でよく使った。特に有名なのは1971年公開の『栄光のル・マン』で使ったホイヤー・レオニダス社(現タグ・ホイヤー)の「ホイヤー モナコ」。

マックイーンが映画の役作りのためにアドバイスを受けていたジョー・シフェール(ポルシェチーム)がマックイーンに「モナコ」を勧めたことから使うことになり、以降、マックイーンの相棒として長い時間を共にすることになる。ジョーは当時ホイヤーのブランドアドバイザーを務めていたから最新機種を勧めたということになるのかな。「モナコ」は「クロノマティック」という当時話題のムーブメントを搭載した最新機種だった。

共同開発で誕生した世界初の自動巻き式のクロノグラフ

オリジナル。ケースは鏡面仕上げ。

タグ・ホイヤーの中でも長い歴史を持つ「モナコ」はスクエアで少し厚みのある存在感のあるコレクションである。

世界で2番目に小さい国であるモナコではF1レースで有名な「モナコグランプリ」が毎年開催されている。市街地にコースをつくることで知られる特別なレース。その“コース”の名前を時計のシリーズ名称として冠しているのがこのモデルなのだ。

搭載されたのは、世界初の自動巻きクロノグラフ専用キャリバー「クロノマティック」。1969年、ホイヤー、ブライトリング、ハミルトン、デュボア・デプラ社の4社で開発された話題のムーブメントでもあり、当時ゼニスの「エル・プリメロ」と世界初を競っていた。

⇒「モナコ」に搭載されていた「クロノマティック」の秘密とは!?
(次ページに続く)



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