干場:ロバートさんがやっていたブックショップってどういうのですか。
ロバート:78年〜83年までやってたんですけど、今はカフェ兼本屋みたいなのところが結構あるじゃないですか、当時はまだそういったのがなくて、僕はそういうのが欲しかったから作ったんです。
干場:それはどこでやってたんですか。
ロバート:シドニーのボヘミアンのエリアでやってて、僕は昔からボヘミアンな本屋がやりたかったんです。
干場:ボヘミアンな本屋ってどんな感じですか。
ロバート:いつもロックがかかっていて、座って本を読めるところがあって、ポエトリー・リーディングのイベントをやっているようなブックショップです。それで2階を画廊にして、そこでパーティやったり、若くて有望な画家だけの展示をしたりして、面白い人たちの溜まり場にしたかったんですよ。
そしたら本当にエリアがエリアというか、シドニーのグリニッジ・ヴィレッジ(※マンハッタンの歴史地区。文化の発祥地でありゲイカルチャーの中心地)みたいなところだったんですよ。
だから、ゲイの人やドラァグクイーン、アーティストから詩人からみんな来ちゃって、楽しかったですね。そういう人たちと仲良くなるとね、彼らの世界に入っていけるんですよね。僕はそういうのに全然抵抗がないんで、友達になって「家に遊びに来いよ」って言われて行くと、画家たちがすごい生活をしてるんですよ。急にパフォーマンスが始まっちゃったり。面白かったですね〜。
山本:ウォーホールの「シルバースタジオ」のシドニー版みたいな感じですね。かっこいい!
ロバート:そういう感じですね。スケールはずっと小さいけど、そういう感じだった!
画廊でパーティをやって踊りを踊ったりもしたし、それも僕にとってはひとつのの冒険でしたね。
干場:ロバートさんがおいくつくらいのときですか。
ロバート:30〜35歳くらいですね。いつかその時の物語を小説に書きたいんですよ。あまりにもいろんな事が起こりすぎて、時系列で覚えてないので小説で書いた方が面白いんじゃないかなと。
山本:1つの文化が生まれるってそういうことなんでしょうね。
ロバート:そうですね、パフォーマンスアーティストが本を飾る窓際のスペースに入って一日中、硬直した状態で立っていて、突然動いたりするパフォーマンスやったり。
あと詩人が自分で作った詩集を持ってきて、詩を朗読しながら人に売ろうとするんですよ。もちろん、それも許してた。自由だから。
僕の大好きな絵を描く詩人兼アーティストなんかは、彼の個展開催中の一ヶ月、「俺がここで泊まりたい。俺の生活もアートの一部にしたい」って言ってきてそれも許していたら、自分のガールフレンドとセックスしてるところもアートの一部だったんですよ。そしたらマスコミがすごい来ちゃって大変でしたね(笑)。
干場:それは話題になりまくりですね(笑)。もう「シドニー」っていう映画作りましょうよ。
ロバート:はは、そうですね。その時の話面白いですよ。
山本:そのブックショップはそのあと誰かの手に?
ロバート:今は南半球で1番大きいゲイブックショップになってます。僕はそのあとすぐ映画の字幕の仕事とか、映画の製作の仕事とか、脚本書く仕事とかやったんで。それはそれで楽しかったですよ。