ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
BUSINESS 高橋龍太郎の一匹狼宣言

Vol.3「アートと鮨、究極の快楽」

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

究極の鮨を求めてシンガポールへ弾丸旅行

 人気連載「一匹狼宣言」。アートコレクター高橋龍太郎氏による歯に衣着せぬコラムである。

今回のテーマは「食」。

編集・山本の持論だが、”食”の嗜好は”審美”に通ずると確信してやまない。知りうるすべてのアートやファッション関係者は”食”に貪欲だ。彼らは「高いから」「安いから」「食べログ評価」など一切関係なく、「旨いか否か」の一切を自分の舌に委ねているのだ。

高橋氏の舌は、一体何を語るのか。読み応えたっぷりの「一匹狼宣言」をご堪能あれ。

シンガポール弾丸旅行のはじまり

1月23日0時10分に羽田を出発して、現地時間6時にチャンギ空港に着く。恒例の1月上旬シンガポール弾丸旅行。空港内の到着ロビーから出国ロビーに上れば、24時間体制で無料シネマもあれば、プール付きのホテルもある。これが国際水準の空港サービスだが、日本はオリンピックまでにそこまでいけるのだろうか。

ART STAGE Singapore 2016

そこで3時間寝て過ごして、チャイナタウンへ。正月飾りを買ったついでに林志源で猪肉乾を2kg購入。毎年列がふえて今年は100人が並ぶ。味は昨年より更にくどい甘味が減り、肉の旨さが口に溶けるように感じる。中国料理は甘さをテーマにした数少ないの料理というのが私の持論だが、その粋を極めた味だ。昼からシンガポールアートミュージアムとシンガポールアートステージを楽しむ。

東南アジアのアート中心地シンガポール

アートステージは中国不景気の影響か活気に乏しい。日本からのブースも売れ行きがいまひとつ。しかし、東南アジアのアートの中心地にするという行政サイドからの強い支援の意志を感じる。日本の及び腰の支援とは段違いである。文化庁からは6~7人で視察に来ていたが、その熱心さが政策に反映されることを祈るばかり。

究極の鮨を求めて〜「すきやばし次郎」への疑問〜

今回の旅のテーマはアートではなく食。夕食をミヅマアートの三潴さんにご馳走になる約束があったのだ。

その店は私の旧知の鮨職人のAさんが去年5月にラッフルズホテルの裏のエリアに開いた店だった。もともと鮨好きだった私は、すきやばし次郎を食べないことには話しにならないと言われ、以前次郎に何度かお邪魔したことがあった。幸いミシュラン騒ぎの前で店は楽に予約も取れこれぞ鮨屋という落ち着いた雰囲気だった。

※写真はイメージです

しかし今ひとつ好きになれなかった。江戸前の細工も種も素晴らしい。しかし酢飯がきつすぎるのである。マグロや細工物の甘さと食べると渾然一体となって見事なのだが、白身やコハダになると、その旨みが酢に消されてしまう。以来訪れることはない。

その後いろいろなところで鮨職人の方にその旨伺うと、多くは言葉を濁してしまう。「次郎さんのことは触れてはいけないタブーなんです。」と言う人までいた。
正面からまともに答えてくれたのが「すし通」にいたAさんだった。「与志乃出の職人は赤酢を使わないで、白酢だけなんです。そうすると量によってはどうしてもあたりがきつくなる。うちでは、白赤半々でやわらかくしています。」以来何度か通わせて頂いた。

鮨の新たなジャンル「熟成鮨」

Aさんは魚を熟成させて鮨に使うことを考えて、種によって熟成の期間を全部変えている。説明を聞きながら食べる鮨は、全く違う味と香り、柔らかさになり、まるで魔法を見ているようだった。1年の準備をかけてのシンガポール開店。開店から8ヶ月たってしまったが、ようやく時間を見つけての訪問になる。 

食べる。3日熟成の北海道のぼたん海老、愛知のメヒカリの一夜干し、2週間熟成のカワハギの昆布締め、45度C火入れ30分の的矢牡蠣、次々に出される鮨種は全部日本からの空輸。まるで日本全体を食べる気分になる。体に響く鮨というのはこのことをいうのだろう。体中が喜びにあふれているのが分かる。

⇒「鮨とは人生を食べる作法である」

(続きはコチラ



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5