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男滅亡の危機!? 生物学的に徹底解明!!
男性ホルモンを出してモテ男への道!?

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黒岩:そうなると、もともと2番目に大きかったオスが、1番になるのでメスに性転換をします。そして、その次に大きい個体がオスになるんです。

西内:すごい柔軟性ですね。

黒岩:他にも、オキナワベニハゼという魚がいるのですが、その魚のメス2匹を水槽の中に入れると、数分のうちに大きい方がオスに性転換することが決まるんです。

西内:それって、どうやって自分のほうが大きいか小さいかを判断しているんですか!?

黒岩:目で見て判断しているんです。

西内:本当ですか!? 魚って、ちゃんと目見えてるんですか!?

黒岩:はい。いくつかの研究から明らかになっています。

西内:そんなに柔軟に性転換をできることにも驚きましたが、魚が自分自身と相手の体の大きさを目で見て比較できることにも驚きました。本当に、身近な生物にも知らないことがたくさんあって面白いですね。

黒岩:そう言って興味を持っていただけると嬉しいです。他には、鳥も性転換をするんですよ。代表的なのが鶏です。

西内:鶏といえばすごく身近な存在なのに、全く知りませんでした。

黒岩:ただ、鶏の場合は魚と違って、そんなに頻繁に性転換をするわけではないんです。理由は解明されていないのですが、長時間かけていつの間にかメスがオスになっていることがあるんですよ。ただ、魚はオスからメスにもなれるし、メスからオスにもなれる種もいるのに対し、鶏の場合はメスからオスにはなれるけれど、オスからメスにはなることはできないんです。

西内:そうなんですね。一度オスになって後悔しても後悔先にたたずということですね...。鳥の場合は慎重な性転換が必要ですね! では、性転換した場合、性格にも影響を及ぼすのでしょうか?

黒岩:心の問題までは分かっていないのですが、鳥類の場合はメスからオスに性転換をすると、行動もオスになるのです。例えば、メスへの求愛行動で歌を歌ったりダンスをしたり...。つまり、性転換の影響が脳にも及んでいるということですね。

西内:では、LGBT(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー)の方々も染色体と何か関係があるのでしょうか。

黒岩:それはまだ解明されていません。ただ、LGBTの方が生きやすい世界になるためにも、性とはそもそもとても柔軟なものであることを、多くの人に知ってもらいたいと思っているんです。男性らしさ、女性らしさに固執することがなくなれば、今よりも多くの人が生きやすい世の中になるのではないかと思います。

西内:では、黒岩先生が研究されている目的というのは、いずれ性別にとらわれない世界を創っていきたいということなのでしょうか?

黒岩:いえ、これは私の願いではありますが、そこまで大それた目的を掲げているわけではないんです。私は進化学者なので、進化学というのは「これからどうするか」ではなく「過去に何が起きたか」を研究する学問なんです。私は、この性転換やY染色体をはじめとする性差の問題が、どのような経緯を経て現在のようになっているのかを純粋に知りたいですし、解き明かしたい。そこにロマンを感じているからこそ、この研究は辞められません。もちろん、その結果として多くの方がより生きやすい世界を作ることができるのならば、こんなに嬉しいことはありませんね。

 

【黒岩麻里 プロフィール】
1973年京都市生まれ。北海道大学大学院理学研究院生物科学部門准教授。2002年名古屋大学大学院生命農学研究科にて博士号を取得。日本学術振興会特別研究員を経て、2003年北海道大学先端科学技術共同研究センター講師。2009年より現職。2011年染色体学会賞受賞。2013年文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。哺乳類のY染色体進化や鳥類の性決定メカニズムの研究を行っている。二人の息子の母。

 

【ライター:西内悠子】
1988年、兵庫県西宮市出身。同志社大学文学部哲学科卒。avexへの就職を期に上京し、3年半のOL経験を経てフリーライターとなる。在学時に自身のアメーバブログが大学生ランキング1位を獲得。会社員時代、dマガジン「Hot-Dog PRESS(講談社)」にて「おじさんハンター」として連載をしていた。

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