後世に絶大な影響を与えた007の着こなし
『007』シリーズは後々ファッションの世界にも絶大な影響を与えた。タキシードにダイバーウォッチを合わせる? そんな初代ボンドのタブーでナンセンスな組み合わせに当時の人たちは驚いただろう。当時はタキシードといえば薄い金無垢と相場が決まっていたのだから。それなのに英国紳士の007はロレックスを身に付けていた(原作ではロレックス「オイスター パーペチュアル」を使っていることが多い。ちなみにロレックスの発祥は英国)。しかもミリタリーのような仕様にして。
そして、その方向性から少し離れた時期もあったが、ピアース・ブロスナンの『007 ゴールデン・アイ』からオメガ シーマスターが装備され30年の歳月が経つ。今ではスーツやタキシードにダイバーズという組み合わせは定番になっている。もしボンドがダイバーズウォッチを使っていなかったら、これほどダイバーズウォッチが人気になっていただろうか? それがボンドの影響力なのだ。
さて、そんなボンドの時計。販売されているものには「007」の刻印があるものとなる。限定なので、すでに入手は困難だ。

しかしご安心を。ボンドの任務で使われているものには「007」の刻印はない。あったら身元バレるしね。その刻印なしならば購入が今のところ可能である。定番として人気になっている「シーマスター300」のブレスレットをフェニックス社のストラップもしくはオメガ純正のストラップに交換すれば、細部の仕様は違うが、魅力的なモデルが完成する。
オメガ専用のNATOタイプのストラップは3万円弱で購入可能。フェニックス社のものならば5000円以内で入手できる。僕はあえてこのような定番を自分なりに変えていくことも提案したい。定番をどう着こなすかこそ本人の力量次第だからだ。

Text:Noritaka Ishida
