古着ゆえオイルが抜けて
いい感じになっています
バブアーのこれは、すでにこの連載でも何度も紹介している、高円寺の古着店「サファリ」で3年前ぐらいに買いました。日本では乗馬用の「ビデイル」のほうをバブアーのオリジンだと思っている人が多いみたいですが、こちらの「インターナショナル」は「ビデイル」が発表される44年前に登場したものなのです。
な〜んて偉そうに書いてしまいましたが……。かくいう僕も以前はそう思っていて、18歳のときの“マイ・ファースト・バブアー”は、ビームス 渋谷でアルバイトしているときに購入した「ビデイル」とフライフィッシング用の「スペイ」でした(苦笑)。でもあれは、僕にはちょっとカントリー過ぎたんですよね。あのオイルドクロス特有の匂いも電車通勤の日常生活になじまず、洗濯機でガンガン洗って染み込んだオイルを落として着ていたんですが……。結局、東京の色というか、都会の風景になじまないのと、生活スタイルには合わなくて着なくなってしまったんですね。
で、久々に出合ったバブアーはまったくあの匂いがしなかった。まあ、古着だったということもありますが、これが僕にとってはすごく良かったんです。もともと好きな形だったこともあるし、黒という色もモダンな感じがして気に入りました。最初はイタリア人みたいに、ジャケパンスタイルのアウターにして着ようかと思っていたんです。でも、いまは休日に着ることが多いですね。Tシャツの上にニットを重ねて、ボトムスはジーンズみたいな。
ちなみに、この「インターナショナル」は、1950〜70年代に開催されたサーキットレースでほとんどのレーサーが着用していて、ライダーズジャケットの代名詞的存在だったそうです。64年にスティーブ・マックイーンが東ドイツで行われたレースに出場したときも、これを着て出場していたみたいですよ。
つまり、男臭いスタイルが似合うんですよ。イメージは『007』シリーズのダニエル・クレイグが映画のなかで休日に着ているような……。僕の勝手な想像ですけどね(笑)。
前にも書きましたけど、こういう永世定番みたいなものは古着店で探してみるのも手だと思います。案外、コンディションのいいものは出回っているし、なにより懐に優しいですから。これは3〜4万円ぐらいでした。みなさんもぜひ参考にしてください!
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE
エコラグ-Hoshipedia
「エコラグ」とは、エコノミック・ラグジュアリーの略。economic luxury。極めて経済的だが、上質さやエレガンスは失わないスタイルの意味。「多くの粗悪なものより少しの良い物を」という干場の哲学により生まれた造語。腕時計や靴・鞄、スーツのように長い年月使えるものは高額でも、白シャツや白無地のTシャツのように常に白いまま清潔に着たい消耗品は、高額なものよりもコストパフォーマンスを重視するというスタイル。パテック・フィリップの腕時計やジョン・ロブの靴と、カミチャニスタやデッコーロの白シャツ、GAPの白無地のTシャツは干場にとっては同じ。一点豪華主義とも違う。干場が敬愛するブルース・リー先生が提唱した無駄を排した最短の動き(エコノミック モーション)で相手を倒すジークンドーのように、経済的で盛り過ぎない、かつ無駄のないシンプルで上質なスタイルを指す。