復刻モデルが出るほどの人気を誇る
70年代独特の愛くるしいデザイン
そろそろ自分らしい腕時計との出会いを真剣に考えている40男の皆様に、『FORZA STYLE(フォルツァスタイル)』がオススメしたい選択肢のひとつが“ヴィンテージウォッチ”です。
その世界は奥深く、手頃な価格で買えるコスパ重視の時計もあれば、果てはオークションで競り落とされる数千万円台の投機の対象となるプレミアムな個体が数多く存在します。実際問題、ヴィンテージって聞くと妙に敷居が高く感じられたり、あまりの人気から偽物が出まわっているグレーな世界であることは否めません。それもあって、どうも二の足を踏んでしまっている方が大勢いるかと思います。
そこでこの連載では、ウンチクに寄り過ぎず、今どきのファッションにもしっかりとハマる腕時計であることを前提にしながら、絶対にはずさない名機の購入ガイダンスを中心に、さまざまな角度からヴィンテージウォッチの魅力を紹介していきます。
完全に好みが分かれるところで一概に正解はないのですが、腕時計を選ぶ上でサイズ感は非常に重要なポイントです。たった数ミリの違いでも時には腕元の印象をガラッと変えてしまうこともあります。それは装着感も然りです。
最近の腕時計を見渡すと、やはり大振りのモデルが主流。ケース型が44mmオーバーのモデルもザラで完全に好みが分かれるところ。それに比べ、ヴィンテージウォッチはかなり小振りです。中にはケース型が30mm以下のドレスウォッチなどもありますから、同じ腕時計とは言え、かなり印象が異なってきます。ですが、実はヴィンテージウォッチでも一部例外的にかなり大きなサイズの腕時計が存在します。
Ref.ST166.077、1970年代製、自動巻き(Cal.630)、SSケース、ケースサイズ55×45㎜/68万円(税抜)
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こちらのオメガのダイバーズウォッチ「シーマスター プロプロフ」は、1970年代のオメガを象徴するスタイルとも言えます。ざっくり言うと、70年代とはスイスの時計業界にとって苦境の時代でして、いわゆるクォーツショックによって産業そのものが危ぶまれるような状況にまで陥ります。当時の苦境を鑑みれば、今日の栄華は奇跡のようなものかもしれません。
この時代のスタイルを代表するのがスペーシーな意匠を随所に取り入れたレトロスペクティブなデザインです。中にはやり過ぎで滑稽にすら思えてしまうデザインもあるのですが(笑)、それとは対照的にヴィンテージとして非常に高い評価を得ているモデルもあります。わかりやすい例が、今では初期型が300万円前後もするロレックスの「エクスプローラーⅡ」あたりでしょうか。
で、ようやく本題に入ります(笑)。「シーマスター プロプロフ」の魅力は詰まるところは、その愛くるしいとヴィンテージとしては超大型のサイズ感にあるんです。言うなれば、これまでヴィンテージウォッチに馴染みがなかった大振りの腕時計がお好みの方でも違和感なく楽しめると言う寸法です。ちなみにその証拠にこのモデル、復刻が発売するほどの人気ぶりなんです。
なお、“シーマスター”とはひとつのモデル名ではなく、オメガの防水時計全般を指す総称であることをここで付け加えておきます。もうお約束とさせていただきますが、ヴィンテージに関しては仮にダイバーズと言えども水は天敵ですからくれぐれもご注意を(笑)。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE