現在、回転寿司チェーンなど飲食で頻発する迷惑行為が深刻な問題となっているが、その舞台はコンビニにも広がっている。
コンビニで働く店員に、仕事でいちばん苦労することを聞いてみると「変なお年寄りの相手」と答える人が多い。常識のある年配者が圧倒的多数ではあるものの、トラブルメーカーの老人の接客は、神経をすり減らすという。
今回は店内でよくトラブルを起こすとある老人について、関東地方のコンビニでアルバイトをしている森田美咲さん(仮名・25)に話を聞くことが出来た。
「いつもお店に来る80代くらいのおじいさんがとにかく怖いんです。飴とか焼き鳥を買っていくんですけど、そのおじいさんが来たらスタッフみんなに緊張が走りますよ。とくにおでんを注文するときに問題が起きるので、『おでんの人』と呼ばれています。詳細は後述しますが、おでんの前でマスクなしでぶつぶつ独り言を言いながら、煮え加減を確かめるように素手で串をつついたり...。何回注意してもやめてくれません」
美咲さんの話によると、そのおじいさんはお昼から夕方頃にかけて店に現れるという。
「まず気になるのは清潔感ですね……髪や服は黄色くなっていて真っ白なヒゲはサンタクロースのようにボサボサ。体から発する臭いもすごいので、こういう時はコロナ禍でマスクを付けてて本当に良かったって思います」
近所の人の情報によると、そのおじいさんはコンビニから歩いて10分ほどの場所に住んでおり、6年ほど前まで夫婦で暮らしていたそうだ。
しかし妻が他界してからは、孤独な生活を送っているという。若い頃は井戸の計測や農業の仕事をしていたが、その頃から変わり者で人付き合いは悪かったようだ。仕事もやめてからは隣人との付き合いもなく、社会と切り離された生活を送っているらしい。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が言う。
「社会から孤立した老人は、自分の世界に閉じこもり、はたからは奇行とみられる言動に陥りやすい。セーフティネットを自分から拒むこともあるので、解決策が立てにくい問題です」
コンビニ店員をさらに戦慄させたおでんの衝撃エピソードと、対応に苦慮する現場の話は、次回でさらに詳しくレポートする。