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代官山ファッションショップ「O(オー)」ディレクターが語る、セレクトショップの最適解

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代官山「O(オー)」が10周年を迎えて、代官山に3号店を移転し、リニューアルオープン

ディレクター吉田拓氏が手がけるセレクトショップ代官山「O(オー)」の1号店がオープンして今年で11年。2016年に2号店を代官山にオープンし、3号店が昨年末にリニューアルオープンしました。

国内外のファッションブランドを取り扱い、唯一無二なアップカミングブランドが数多く並ぶセレクトショップとして人気の「O」の3号店は、オフホワイトからライトグレーのカラーレンジの空間に、アンティークの木材の什器とステンレスなどのシルバーの什器を揃え、古いような、新しいような、時代感があるようでない、無国籍で無性別な空間を意識した店舗です。

固定観念を持たず、自由な視点で物事を発信している代官山「O(オー)」

――1号店のオープンが2012年ですが、11年目で「O」のコンセプトは変わりましたか?

吉田拓(以下、吉田) お店のコンセプトは「温故知新」と「不易流行」になりますが、オープンからコンセプトは変わらず続けています。

――セレクトショップも時代や流行とともに形態は変化していますが、吉田さんが今考える「セレクトショップ」とは?

吉田 僕は「セレクトショップ」という概念は死語というかコンテンツとして時流にマッチしていなくて、今後より衰退していく概念になると考えています。絶滅するとは思ってはいないですが、本質的な「セレクトショップ」として残るお店は現在の半分以下になっていくのではないかと。

O 代官山 3号店 (オー ダイカンヤマ サンゴウテン)

――そういう時代に「O」はどういう立ち位置、視点をお持ちですか。

吉田 「本質的」と言いましたが、商品のバイイングはお店の商品構成をする上での一つの手段で、お店を形成するプロデューサーやディレクター、またはそのチームのポジションのメンバーが行う手法の一つだとは思います。

店舗形成の主たるメンバーの個性や特徴を主張することは時代を経てもとても重要ですが、「セレクト」することのみに概念を固めることだけが最適だとは考えません。そもそもお客様がそれだけを求めず、ブランドも自身たちのみで販売を完結させるケースも年々増えているので、セレクトが個性や特長になることは消滅していくでしょう。

今のファッションショップに求められているのは「感動」

――「O」1号店から3号店まで、ショップの差異化・差別化を教えてください。

吉田 3店舗の明確な差別化は行なっていません。代官山 本店と2号店はメンズ主体、代官山3号店はユニセックス主体の構成にしています。店舗毎にコンセプトを設定しているわけではなく、店舗を増やすのはエリアの増床的な意味合いが強いです。

「O」のフレームで構成したラインナップを、代官山の3つの店舗の雰囲気に合わせてアジャストしています。今年3月には初の大阪エリアへの出店をするので、そちらはまた新しいチャレンジでとても楽しみです。

O 代官山 3号店

――今、メンズショップには何が求められていると思いますか?

吉田 メンズに限らないですが、感動だと思います。

――吉田さんもちょうどFORZA STYLEの読者の年齢になられていますが、洋服(着ること)の意識の変化を教えてください。

吉田 自分自身が着る洋服の考え方としては、僕は自分の着こなしやオシャレにはあまり頓着がないです。仕事を中心にした生活なので、持つ洋服は仕事をする自分の邪魔をしない服に絞っています。着脱の手間や時間が無駄なのでボタンが付いたシャツは着ない。靴紐のついた靴は履かない。合わせを悩むような服は持たない。休日もほぼ同じ服装で、長いときは1週間同じボトムスと靴を履いています。

O 代官山 3号店

――「自分の邪魔をしない服」とは具体的に何ですか?

吉田 子供もいるので、汚れにくい、収納性があり、ポケットの中身の紛失の懸念が少ない。汎用性が高い。耐久性が高い。シワがつきにくいなど、数々の自分のルールをクリアした洋服に絞っています。

余計なことは考えたくないので、髪の毛はほぼ坊主なのですが、馴染みの美容師にすべて任せていますし、メガネはマイキータのメガネが一番ストレスレスなのでマイキータしかかけない。

靴はミドリカワリョーというシューズデザイナーを世界で一番尊敬しているので、緑川さんの靴だけしか履かないようにしています。

より良いものを作っていきたいし、より良いものを厳選してバイイングしたい

――吉田さんのこれから先のビジョンを教えてください。

吉田 自分が今年で40歳になることと、昨年父が亡くなったこともあり、自分の仕事の残された時間をとても考えています。20代から自分にできる仕事の残り時間のようなカウントダウンのイメージは大事にしていたつもりだったのですが、年々その意識が強まっています。

「O」の信条として、「より良いものを、より広く、より多くの人に」のような、MORE MOREな気持ちをずっと持ち続けているので、自分に残された時間の中で、より良いもので、より広く多くの方に、小さくてもいいので心動くようなサービスと商品を提供していきたいです。

洋服は毎日着るもので、人それぞれのクローゼットの収納量にはある程度の限界があると思うので、その中の何着でもいいので、自分を通して提供された洋服を持って欲しい。

テンションが上がる。元気が出る。人に良くみられる。快適。実用的など、人それぞれの価値観で買う洋服や着る洋服は選ばれると思いますが、どの価値観にとってもその人自身とともに良い時間を過ごせるような洋服を自分の仕事や感性を通してできるだけ提供していきたい。

そういった意味でも、洋服は着る人にとって奉仕的(サービス)なものであるべきだと思いますが、サービスに対しての自分の価値観というエゴをより提案していきたいです。

より良いよいものを作っていきたいし、より良いよいを厳選してバイイングしたい。より多くのエリアに店舗を持ちたいですね。

O 代官山 3号店

代官山 3号店 (オー ダイカンヤマ サンゴウテン)
東京都渋谷区猿楽町23-5 DAIKANYAMA TANIOKA BLDG. 3F
03-6455-0337
営業時間:12:00~20:00
公式サイト

Text:Makoto Kajii



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