各ギャラリーで引っ張りだこ! 山田さんの工房へ
FORZA STYLE:ひさこ先生! 笠間ではいろいろ勉強になりました。コロナは多少落ち着きましたが、まだ唐津や多治見など遠方には足を運びづらく…、近くに素敵な作家さんって いらっしゃいますかね?
ひさこ先生:産地ではありませんが、神奈川県相模原に山田隆太郎さんの工房があるので、行ってみましょうか?
FORZA STYLE:いま最も個展が多い作家さんのひとりで、作品もよくお見かけします。欲しいなと思っていたので、ぜひお邪魔したいです!
相模湖にほど近い、藤野の山間で作陶する山田隆太郎さん
ひさこ先生:まず、山田さんが陶芸家を目指すことになったきっかけを教えて頂けますか?
山田隆太郎:僕は大学3年のとき、ある朝目覚めたら枕にごっそりと髪が抜け落ちていて、その後だんだんなくなってきて、「これじゃ就活もできないよ」なんて落ち込んでいたんです。
そうするうちに電車に乗ると倒れるようになってしまい、後々パニック発作ということに気づくんですが、当時はなんだか分からなかったので、自分が壊れてしまったのかと思い悩みました…。
その頃に妻の実家の近くに陶芸教室ができて、アートセラピーというか、逃避的な感覚で始めてみたのがきっかけです。
ひさこ先生:土に触れて、心を落ち着かせる的な感じでしょうか?
山田隆太郎:安いお涙頂戴話のようですが、あの頃は完全に混乱していたので、なすがままに陶芸に向かっただけです。
FORZA STYLE:では、違うきっかけがあったら全然違う道に進んでいた可能性も? ドッグセラピーだったら調教師やブリーダーになってたり。
山田隆太郎:そうですね。動物は大好きなので。
もし陶芸家になっていなかったら
ひさこ先生:ご出身は埼玉で、多摩美術大学を選択したときは、どんな将来を思い描いていたんですか?
山田隆太郎:造園と建築が合体したような学科だったんですが、当時は倉俣史朗なんかにも興味があって、家具を学んでインテリアデザイナーになりたかったんです。本当は武蔵美の家具を学ぶ学科に行きたかったんですが、落ちてしまいました。
ひさこ先生:順調に進んでいれば、家具にまつわる仕事を目指してました?
山田隆太郎:どうなっていたかは分かりませんが…。デザインとか ものを作ることには興味があったので、学生のときもデザインの現場でバイトしたりして学んでたんですが、あるとき それが瓦解しました。
FORZA STYLE:結果的には かたちは違えど、ものを作る仕事に就いた。ということは、ドッグセラピーを受けていても、動物にまつわる仕事には就いてなさそうですね。
ひさこ先生:陶芸に触れる以前に、うつわとか食器に興味はありましたか?
山田隆太郎:高校のときの授業で ろくろを触ったことはあって、そのときの記憶が少し残っていたのはあるかもしれません。
ひさこ先生:陶芸教室に通い始めて、うつわを作る面白さに目覚めていくわけですか?
山田隆太郎:大学でデザインを学んでいたと言っても、CAD使って図面を引いて、模型を作って終わりだったのが、粘土触って焼いて、それが実際に使えるというのには結構衝撃を受けました。自分が作ったものが道具として成立しているという事実に面白みを見出してしまいました。
それと、他人に会うことなく、ひとりでものを作って売って、暮らしていけるってところにも惹かれたのかもしれません。