人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。
どうしても今のものが着たくなってしまうんです。
かつて編集者として出版社に勤めた経験があり、現在はファッション誌や広告、そして国民的アイドルからミュージシャン、政治家のスタイリングに至るまであらゆるシーンで活躍するスタイリスト櫻井賢之さん。
幅広い知識に基づき、クラシックからモード、ストリートに至るまで幅広いジャンルに精通する櫻井さんが、思い入れが強くて捨てられなかった服をご紹介する企画の第11回目は、トム フォード(TOM FORD)のサファリジャケットです。
「これはリネンのサファリジャケットで、コレクションを見た際にカッコ良く見えて、着るかなと思って買ったんですが、ほとんど袖を通していないんです。サイズ的にもデザイン的にも着られなくはないんですが…。
作りも良いですし、歳を取ったら着るかなと思いつつも、
仕事の影響もあって、"今着たいもの"しか買わない。ごくたまに高級メゾンのカシミアコートなんかも100年コートくらいの感覚で買ったりするんですが、結局着なくなってしまいます。
新しいものが欲しくなってしまう、浮気性なんです。
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