紐やベルトがない分、足に合うものをしっかり選ぶ方が賢明です!
ビジネスシューズの基礎知識を、紳士靴の専門店「42ND ROYAL HIGHLAND(フォーティセカンドロイヤルハイランド)」の鳥海祥子先生に、女性目線でご指導頂きながら 学んでいく企画「靴のこと教えて、祥子先生」。第13回めは、ローファーのサイズ選びについてです。
*撮影時のみ感染症対策実施のもとマスクを外しています
FORZA:祥子先生、質問が届きました。今回はローファーなどスリップオンの靴に関するものです。
26歳 サラリーマンの男性から、「社会の状況が一変して会社での服装も多少緩くなり、ローファーを履いて仕事してもOKになりました。早速オンラインでサイズだけで選んで購入して履いていたんですが、段々かかとが緩くなり…、ヘタをすると脱げてしまう感じになりました。そこでローファーなど紐がない靴のサイズ選びのポイントを教えて欲しいです。よろしくお願いします」。
というわけで、紐やベルトのない靴のサイズを選ぶ際のポイントについて教えてください。
祥子先生:ビジネススタイルのカジュアル化やコンフォートなものが好まれる流れで、スリップオンタイプのシューズの需要は増えているように思います。
しかし、履き口の開口部が大きく、紐やベルトで調整できないためフィッティングは難しいです。
FORZA:左右の足のサイズが異なったり、呑んべえだと足がむくんでたりもしますからね。
祥子先生:(笑)。多くのブランドは、甲を低く作ることで足を抜けないようにしているため、甲高の人はとくに難しい場合が多いです。お店でフィッティングしてご購入頂くのがベストですが、こんなご時世ですのでオンラインストアのご利用もご検討ください。オンラインでのご購入に際しては、メール・お電話でのご相談も承っております。
FORZA:ブランドだけでなく、木型によってフィットは全然異なるので、本来は実際試してみた方が安心ですが、緊急事態宣言下となると……。
では、どこに注意すべきでしょうか?
祥子先生:まず、足の長さ(サイズ)が合っているのは最低条件です。
グッドイヤーウェルテッド製法など、靴の作り方によっては、履くことで靴底が沈み込んで靴内の容積が大きくなるものがあったり、革の繊維が緩んで馴染んでくることもあります。
最初に履いた時点で長さに余裕があると、緩くなる可能性があります。ブランドによっては、かかと部分、いわゆるヒールカップの作りが大きい場合もあるので、そこにも注意が必要です。
FORZA:これはローファーでなくても、履いていくうちに沈んで ゆとりを感じることがありますね。
祥子先生:意外と疎かになりがちですが、足を一周ぐるりと測った寸法であるウィズ(足囲)も重要です!
ウィズ以外にも、足と指の支点となるボールジョイントの位置や、小指の当たり方、くるぶしが当たらないかといった箇所も気をつけるポイントです。
FORZA:知っておくと靴選びが円滑になりますね。ただ、ウィズが大きくなるとズングリむっくりなシルエットになるような気がしてナロー(細い)なものを選びがちですが……。
祥子先生:その人の足の特徴にもよりますが、足への負担を少なくしたいのであれば、ご自身の足に合ったものをお選びいただくのが良いと思います。太めの丸い靴も可愛いですよ(笑)。
祥子先生:それから、甲と靴の間に隙間がないかも確かめてください。
靴紐やベルトで調整ができない靴なので、この部分が緩いと歩きにくいですし、脱げないように力が入ることで疲労が溜まったり、足が前に滑って木型のより細い部分に入りこんでしまい、小指が当たって痛くなったりもします。
FORZA:この部分は、かなり重要なんですね。
祥子先生:ただ、窮屈すぎるサイズを選ぶと、履き慣らしに苦労してギブアップしてしまう方もい らっしゃいます。フィット感には好みもありますので、くれぐれも無理しすぎないでください。
幅に対して長さが合いにくい場合は、ソックスの厚さなどで微調整して頂くのもひとつの手段ではありますが、靴の中に敷くインソールやタンパッド(タンの裏に張り付けるクッション)での調整もできますのでご相談ください。
祥子先生:トップライン(履き口)がくるぶしに当たる場合には、かかとに入れて調整できるクッションも取り扱っています。
FORZA:それは、ありがたいです!
クッション性の高い素材と、履き込んでも沈まない素材で、厚さの異なるバリエーションで揃えていますので、ご試着の際に試して頂いて快適に履けるものをソックシートの下に見えないように敷くことができます。
FORZA:こちらは有料ですか?
祥子先生:いえ、かかとのクッションについては靴をご購入頂く方には無料でご提供しています。(※インソールやタンパッドは有料です)
FORZA:なんと! これはオンラインでは受けられないサービスですね。
祥子先生:当店のROYAL EXECUTIVE MEMBERにご登録いただき、2回目以降のご利用の場合には、くるぶしの当たり方をご相談いただければオンラインストアでのご購入時にも対応させて頂きます。
FORZA:おぉ、メンバー登録すれば、オンラインでも受けられる!
祥子先生:履き馴染んできたとき、かかとがパカパカと脱げるようになってしまうと歩きづらくなり、足も疲れやすく、また歩行の姿勢も悪くなるので負担が大きくなってしまいます。
履き馴染みのサイズ感を予め想定して選んで頂くのが良いと思いますが、先ほど申し上げたようにフィット感や履き心地には それぞれ好みもあると思います。履き馴染んだ後でもインソールやタンパッドなどで調整することができますので、いつでもお気軽にご相談ください。
FORZA:脱ぎ履きが楽な通称"怠け者"なローファーですが、最初のサイズ選びは慎重にすべきなんですね。
祥子先生:楽な靴だからと おざなりにしてしまうと、外反母趾や膝痛、腰痛など健康を害してしまうこともありますので、注意が必要ですね。
FORZA:確かに! やっぱり靴は奥が深い。本日もありがとうございました!
さて、こんな素敵な祥子先生に靴にまつわる質問がありましたら、FORZA STYLEの無料会員登録をして頂き、コメント欄からドシドシお寄せください。登録も質問もお待ちしています!
鳥海祥子
42ND ROYAL HIGHLAND スタッフ
15歳から声楽を学び、数々のコンクールで受賞。勉強のため1年間イタリア・ローマへ渡るうちに一念発起して、革靴業界へ転身。42ND ROYAL HIGHLANDでスタッフとして働き、販売に加え、靴磨きや靴づくりも学ぶなど真摯な取り組みが評価され、各方面からの信頼も熱い。2021年よりFORZA STYLEにて「祥子先生」に就任。靴にまつわる質問に答えていく。
【問い合わせ】
42ND ロイヤル ハイランド 代官山
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営業:12:00〜20:00
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Photo:Naoto Otsubo
Edit:Ryutaro Yanaka