もしもこんなブガッティがあったなら。その名はボライド
ある程度自動車に興味がないとご理解いただけないでしょうが、超絶ラグジュアリーブランドのなかにフランスの『BUGATTI（ブガッティ）』というブランドがあります。設立は1909年。稀代の天才エンジニア、エットーレ・ブガッティがその創立者です。
同社はミッレ・ミリアやル・マンなどモータースポーツで大活躍。瞬く間に欧州の階級社会に浸透していきます。ところが、人気もピークに達した頃に第二次世界大戦が勃発。戦後はエットーレが亡くなったこともあり衰退・消滅してしまいますが、紆余曲折あり、現在はフォルクスワーゲングループが商標権を獲得。新たな組織を作り2005年から同ブランド名でスーパーカーを製造・販売しています。
で、どんな規模でビジネスを展開しているかというと、ファーストモデルの『Veyron（ヴェイロン）』が2005年から2015年の間に450台を販売。セカンドモデルの『Chiron（シロン）』が2021年には500台目の生産・引き渡しとなる予定です（両モデルとも限定生産）。
ブガッティの売り上げを吊るしのモデル単価でザックリ計算すると、ヴェイロン約1億8,000万円×450台＝810億円、シロン約3億2000万円×500台＝1,600億円、2,410億円÷15年＝161億円（年間平均売上） となります。
カーボンのシャシーに1000psを超えるW型16気筒ターボエンジンを搭載したミドシップスポーツを16年間に950台生産してこの金額。限定車を作って多少お代をいただいても損得勘定じゃやってられませんね。
この950台のなかには、限定車やワンオフモデルもあるとはいえ、基本的には15年で2モデルというブガッティ。次期モデルが注目されるなか登場したのが今回ご紹介する『Bolide（ボライド＝火の玉）』というコンセプトカーなのです。
"BUGATTI BOLIDE – WHAT IF"
これは公式サイトに掲げられた冒頭のキャッチコピーですが、ブガッティによるメッセージを解釈すると、「ロードモデル（市販車）という制約を解除して、レーストラックで限界性能を解き放つ」という車両コンセプトになります。
【BUGATTI Bolide】
エンジン：W型16気筒ターボ
最高出力：1,361kW（1,850ps）/ 7,000rpm
最大トルク：1,850Nm / 2,000-7,025rpm
トランスミッション：7速DSG
駆動方式：AWD
ボディサイズ：全長4,756×全幅1,998×全高995mm
トレッド：1,586 / 1,525mm
ホイールベース：2,750mm
最低地上高：70mm
車体重量：1,240kg
0-100km/h：2.17sec
0-200km/h：4.36sec
0-300km/h：7.37sec
0-400km/h：12.08sec
0-500km/h：20.16sec
最高出力を並べると、ヴェイロン1001ps、シロン1500psときて、ボライドは驚異の1,850ps！ただし、これには条件があって、レース専用のガソリンを使用した時のスペック。市販のハイオクガソリンだと1,600psほどになるそうです。
「BUGATTI Bolideの外観は、いわゆる航空史のXプレーンとの関係性を呼び起こし、1947年にチャールズ・”チャック”・イェーガー大尉がマッハ1.06で音の壁を破ったベルX-1ジェット機を彷彿とさせます」とはリリース上のアナウンス。個人的にはスターウォーズのXウイングに見えます（カッコいい！）。
「最高速度が500 km / hをはるかに上回り、最適なハンドリングと最大の俊敏性を損なうことなく、F1とほぼ同等の数値を達成します。 Bolideのル・マンのラップタイムは3：07.1、そしてニュルブルクリンクのラップタイムは5：23.1です」と続きますが、コレは最新シミュレーション上のデータらしく、本気のアタックが見られるのか今後が注目されます。
“もしもこんなブガッティがあったら……”。超絶クールなボライドのリアビューを見て壮大なスターウォーズのテーマソングが鳴り響いたと思ったら、次の瞬間には踊るスクールメイツとドリフターズ登場してしまうワタシの脳内。まだまだ妄想の旅は続きます。
Text：Seiichi Norishige
