18年間これ一筋!
「なにげなく紅茶を一さじすくって唇に運んだんだが、そのなかに柔らかくなったひとかけらのマドレーヌがまじっていた。」プルースト作失われた時を求めて1(岩波文庫)より
そのひとかけらのマドレーヌを口にした瞬間、全身につたわる喜びの戦慄。時を超え、往時を思い出す主人公。今回、1982年型BMW323iのドアを開けた瞬間、私も遠く西ドイツの香りを感じ、思いを馳せるのであった。質実剛健にして南ドイツの熱い血を感じさせる、古き良きメイド・イン・ウエストジャーマニーのお手本がそこにはあったのだ。
おまっとさんです。クルマを見ればあなたがわかる。引き続きイラストレーターのソリマチアキラさんがご登場。前回はソリマチさんのライフスタイルに迫りましたが、今回はじっくりとクルマを!
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ソリマチさんが免許を取ったのは30歳を過ぎてから、そして初めて買ったクルマが、この1982年型BMW323iだ。20年ほど所有している。
内装にほつれやヒビ割れはない。いい感じに使い込まれた車内を見渡す。
シートは、布・レザー・スエードが組み合わされたレカロ社製のものが純正で取り付けられている。ゲトラグ社製の5速マニュアルにノンパワーのステアリング。計器類はもちろん、エアコンの吹き出し口などドライバーを囲むようにして配された運転席は、まさにコックピット!
大振りになった昨今のものと比べ、なんとも繊細はキドニーグリル、その奥にはシルキーシックスと称される直列6気筒エンジンが載る。
「街中を流すだけでもこのエンジンの気持ちよさがわかります」とソリマチさん。その手には、ペッカリーのドライビンググローブが! 「重ステなんでグローブしないと力が伝わりにくいんです」と語る。
ボディカラーはブラジル・ブラウン・メタリック。絶妙な色合い!
ソリマチさんに長らく愛されてきたこちらのクルマだが、最初は調子が悪かったという。エンジンが一発でかからないなど。しかし、港区三田にある崎山自動車サーヴィスで面倒を診てもらうようになってからは、すこぶる快調!
最後に、あなたにとってクルマとは? と訊いてみた。
その答えは……動画をチェック!
Video&Photo: Naoto Otsubo
Video Edit: Kabuto Ueda
Text:Takashi Ogiyama