●第21回:H.MOSER & CIE./H.モーザー
H.モーザーはいまの時計界では稀少な独立系ブランド。巨大グループに属さないため、規模はさほど大きくなく、生産本数も多くありません。
ですが、時計づくりの技術とセンスはトップクラス。実は、ヒゲゼンマイを自社製造できる数少ないマニュファクチュールのひとつで、25社にヒゲゼンマイを供給する腕利きサプライヤーであったりもする。また、独特のボカし仕上げの美しい「フュメダイヤル」により、ここ数年急激にクローズアップされている「高品質ダイヤル」をいち早く取り入れてしまったのも、H.モーザーの優れた時計づくりの手腕です。
で、そんな素晴らしい技術とセンスを、今回のバーゼルでも遺憾なく発揮。その代表が「エンデバー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン」で、名前のとおりにミニッツリピーターとトゥールビヨンとを併載した超複雑機構の大作。しかもミニッツリピーターのハンマーとゴングをダイヤル側に配し、見えるようにしているのが凄いのです。
エンデバー・コンセプト ミニッツリピーター トゥールビヨン
手巻き、18KWGケース、ケース径43mm、日常生活防水。世界限定10本。3900万円(税抜)
いずれも超複雑機構であるフライングトゥールビヨンとミニッツリピーターの2つを併載した大作。しかしシンプルさを美徳とするH.モーザーの作風に倣い、まったく複雑に見えない=見せないところが出色。
そして注目が、インデックスもブランドロゴもなにも記さない「コンセプト」のダイヤルの前面にミニッツリピーターのハンマーとゴングを配したこと。時刻を告げるハンマーの動きを腕に着けたままじっくり眺め楽しむことができるのです。
【問い合わせ】
イースト・ジャパン
03-6274-6120
https://www.h-moser.com/jp/
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Text:Yutaka Fukuda
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