貧乏性なんでしょうね。なんとはないプレーントゥが苦手なんです
さて、2018年のトリを飾る121回めは、やっぱり「エルメス(Hermès)」。プレーントゥで、外羽根とタン、かかとの部分にメダリオンが打たれたレザーシューズです。
年末年始で少し畏まった席にお呼ばれすることが多く、バシっと気合い入れるときは「ジョンロブ(JOHN LOBB)」のフィリップⅡ辺りを履いて勇んで出掛けるんですが、やっぱ最終的にベロンベロンに酔って帰ってくることが多く……。
気づかない内に 取り返しのつかない傷付けてたとか心配ですからね。もう少し気軽に履けて、少しタフな方がイイ。ホントはお酒を控えた方がイイんですが(笑)。
ただ、そういった類いの靴を持ってないんですよね…。そもそも黒い革靴が圧倒的に少ないし、あってもウィングチップとか、ブーツとか。冠婚祭に履ける御目出度い雰囲気の靴をたくさん買うのは気分も上がるんですが、葬のために準備しておくのって滅入るじゃないですか? 誰か亡くなるのを待ってるみたいで。
だから、黒のプレーントゥとか"ド"シンプルなストレートチップって持ってません。
まぁ、貧乏性で 何かしら飾りが欲しくなっちゃうって方が正解な気もしますが…(笑)。
話をクルリンパと戻しまして、今回のエルメスのシューズは、写真から伝わるのか…ですが、もの凄く革が硬い! もうガッチガチで 最初の数回は返りが悪すぎて、足がメチャクチャ痛かったんです。
その証拠に、かかとに靴がついて来ずに擦れに擦れて、皮が剥けて血が滲み、シミになっちゃってます…。アイタタタ。
なんで、「そんな思いまでして履くんだ?」「っていうか、なぜ買ったんだ?」ってお思いでしょう。思い出してください、今回の目的がタフな靴ってコトを。
これだけガッチガチな靴なら多少のコトではヘコ足らないし、最初はシンドくてもエルメスの革ですから馴染んでくれば、きっと最愛の友人となれる。そんな期待を込めて、初めは涙を呑みますよ。
しかも、これもソルド品。2016年春夏コレクションを観たときは食指が動きませんでしたが、お安くなってるとあらば、試着してサイズを確かめ 即座にビニールに詰めて、清水ダイブです!
これの場合もおそらく、ただのプレーントゥなら買ってなかったと思います。外羽根に入ったメダリオンがイイ感じに効いてます。
そして、一時期エルメスのシューズに多く見られた、別の素材をサンドウィッチしたアウトソール。これの場合はネイビーなので、そこまで悪目立ちせず 程良い。
さらに、ソール裏はエルメスの意匠、オレンジ。このブーツはサイドからもチラッとオレンジが見えましたが、こちらは見えない。このバランス感覚は さすがですね。履くシーンがきちんと考えられてる。
歩いてるとこんな風にチラ見えするんでしょうけど、まだ数回しか履いてないのにガッツリ削れて、アーチ部分以外はオレンジじゃなくなってますが……。
そして、もう書くのも憚られますが、ソールの滑り止め用の溝も「よく見たら H」。かかとだけじゃなくて、フロントの小さい溝もですよ。って どーでもええわっ!(笑)
確か、赤峰先生のめだか荘に編集部員みんなでお邪魔した2017年8月に初めて履きおろしたので、かれこれ1年半の歳月が経過しているはずなんですが、全然柔らかくなってない…。
っていうか、去年の年末年始は数回履いた記憶があるけど、それ以降は……。
やっぱ黒い革靴って履かないんだな。しかもプレーントゥタイプとなると なおさら。儚いから、今後は別のタイプの靴を買うことにしよう!
Photo:Naoto Otsubo
Text:Ryutaro Yanaka