ハンバーガーメニューボタン
FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
FASHION アパレル業界の挑戦者たち

リアル店舗での「体験」が新しい感動を生む「伊勢丹新宿店メンズ館」の紳士靴

無料会員をしていただくと、
記事をクリップできます

新規会員登録

福田 ハイエンドコーナー全体を入りやすい空間設計にしたことで、客数は明らかに増えました。オーダーに興味を持っている人が徐々に増えてきているのも感じています。イセタンメンズは新しいことにトライしなければならない店だと思っているので、明確なニーズができる前に新しいマーケットを作っていこうと、パーソナルオーダーにチャレンジする場を設けました。靴に関心を持つ新しいお客様を掘り起こして、サービスによって顧客化していく施策ですね。

――メンズ館の紳士靴では秋冬、春夏のハイシーズンの毎週末に様々なブランドのトランクショーを開催していますが、ブランド側の反応はいかがですか?

福田 来日するブランド側のスタッフにも好評です。伊勢丹がパーソナルオーダーに着目してスペースを広げたことに賛同して喜んでいただいています。世界中を回っている職人からも「こういうスペースは世界で見たことがない」とか「ブランドの世界観を伝えやすい」という声をいただいています。


福田氏の手前左から、常時パターンオーダーができる3ブランド。「ENZO BONAFE(エンツォ ボナフェ)」22万円(税抜)、「STEFANO BEMER(ステファノ ベーメル)」20万円(税抜)、「EDWARD GREEN(エドワード グリーン)」16万4,000円(税抜)

ビスポーク3ブランド、パターンオーダー9ブランドを常設

――オーダーサロンのビスポークのラインナップを教えてください。

福田 ビスポークで常時ご用意しているのが3ブランド、「OTSUKA BESPOKE(オーツカ ビスポーク)」、「YOHEI FUKUDA(ヨウヘイフクダ)」、「CLEMATIS(クレマチス)」です。他にも気鋭のシューメーカーとして注目の早野唯吾氏が手がける「YUIGO HAYANO(ユイゴハヤノ)」や「GUILD(ギルド)」のポップアップイベントなども開催し、好評でした。

――パターンオーダーのブランドは?

福田 常時パターンオーダーができるのは9ブランドで、「JOHN LOBB(ジョンロブ)」、「J.M. WESTON(ジェイエムウエストン)」、「ANTHONY CLEVERLEY(アンソニー クレバリー)」、「GEORGE CLEVERLEY(ジョージ クレバリー)」、「STEFANO BEMER(ステファノ ベーメル)」、「ENZO BONAFE(エンツォ ボナフェ)」、「CORTHAY(コルテ)」、「DAMI(ダーミ)」、「EDWARD GREEN(エドワード グリーン)」です。


今秋、既製靴で登場した「SAINT CRISPIN'S(サンクリスピン)」

――錚々たるラインナップですが、福田さんは「ビスポークの醍醐味」はどこにあると思いますか。

福田 ビスポークに関しては、やはり「ビスポークメーカーとの会話」ですね。メーカーによって採寸方法や靴に対する理想像が違いますから、こちらは作り手の個性やクセを理解して一緒に作っていくプロセスが最も楽しいと思います。

――でも初めてオーダーする人にはとてもハードルが高い。

福田 そうですね。今回のリニューアルを機に、既製靴で「SAINT CRISPIN'S(サンクリスピン)」と「GAZIANO&GIRLING(ガジアーノ&ガーリング)」を新たに導入しましたが、ともにビスポーク由来のブランドです。まず既製靴から始めて、今後、パターンオーダー会の開催、次にパターンオーダーの常設、そしてビスポークのイベントを行うというステップを踏んでいきたいと考えています。お客様にも同じように、「既製靴、パターンオーダー、ビスポーク」とステップアップしていただければ、オーダーの敷居の高さを感じることなく、靴の醍醐味を味わっていただけると思います。


メンズ館=紳士靴に既製靴が登場して話題を呼んだ「GAZIANO&GIRLING(ガジアーノ&ガーリング)」

オーダーサロンのメリットは「比較購買」できること

――今回のリニューアルのお話を伺っていると「常設」もキーワードですね。

福田 はい、これまでは年に一度、シーズンに一回、ブランドの職人がメンズ館に来てオーダーを受けるということに付加価値があった時代もありましたが、お客様から「そのタイミングでは行けない」や「別のブランドと比較してみたい」という声があったのも事実です。そういう声をいただいて、次のステップとして「比較をしながら常時オーダーできる」環境とブランドを整備しました。いきなりビスポークは難しいので、パターンオーダーのメリットを知っていただくことから始めてほしいと思います。

――スーツのオーダーでは「体型補正」も大きな要因になりますが、オーダー靴でも「足の悩み」は多いのでしょうか。

福田 確かに「自分は踵(かかと)が大きい」など足型やサイズのお悩みの方はいますが、靴は、こだわり、実用性に加えてファッション性という3つを揃えているアイテムなので、「この木型でこっちのデザインと革が欲しい」という方もいて、パターンオーダーはそういうリクエストにも応えるものです。実用性という面では、ずっと既製靴を履いてきて、「どうもしっくりこないな」とか「常にサイズが合わない気がする」という方もぜひご相談ください。

――世界一の靴売場の未来像を教えてください。

福田 幅広いお客様がいらっしゃる売り場なので、楽しいシューズショップにしていきたいですね。「シューズテーマパーク」をテーマに、新しい靴と出合える世界一お客様に楽しんでいただけるフロアにしたいです。

――具体的には?

福田 オーダーサロンでは、革の匂いを感じて、革見本を触りながら、お客様とスタイリスト(販売員)が一緒に築いていくオーダーの醍醐味、実体験を楽しんでいただける場をご用意しました。紳士靴では他のコーナーでもお客様に楽しんでいただける仕掛けも増やしていきたいと思います。


靖国通り側入口からメンズ館地下1階のオーダーサロンを望む。福田氏は、「オーダーしている様が一つの絵のような風景になる」ことも狙いだったという

【問い合わせ】
伊勢丹新宿店メンズ館

東京都新宿区新宿3-14-1

TEL. 03-3352-1111(大代表)
10:30~20:00

Photo:Riki Kashiwabara
Writer:Makoto Kajii



RANKING

1
2
3
4
5
1
2
3
4
5