ヨーロッパの最西端で激しくアドレナリンを分泌!
2シーターロードスターは男の憧れ!と思います。SUVブーム全盛の昨今、イマドキのメンズ全員にそれが当てはまるかどうかは疑問ですが、気持ちのいい乗り物であることは間違いありません。それを証拠にこの手のクルマを撮影しようと思うと、「やっぱ海岸線かな」という声が出ます。海沿いの道を潮風を感じながらドライブするのが、2シーターロードスターにピッタリなシチュエーション。助手席に彼女を乗せて走る自慢げなメンズの顔が浮かびます。でも、女性は髪が乱れるからそれほど喜んでいない説もありますがね……。
3世代目となるBMW Z4の国際試乗会がポルトガルの首都リスボン近郊で行われました。そう、テストドライブのルートはまさに海岸線。ヨーロッパ最西端の海沿いを走ります。ロカ岬のそば。やはり「ロードスター=海岸線」の図式は万国共通のようです。
新型Z4の特徴はご覧のようにルーフにあります。これまでのZ折電動メタルトップではなく、ファブリックのソフトトップが採用されました。その理由は軽量化は走りのよさに直結しますし、収納スペースもファブリックの方が場所を取りません。でもよくよく考えるとそれだけではなさそうです。
というのも、兄弟車として世に出ることが決まっているトヨタ・スープラの存在があるからです。同じプラットフォームとシャシー、パワートレーンを使うスープラは2ドアクーペ。となればメタルトップでは差別化できませんし、そこに開閉機構のモーターを付けてはクーペよりもハンドリングは悪くなってしまいます。なので、BMWはソフトトップを選ばなければならなかった。なんて理由もありそうですね。そこは憶測ですが。
そのソフトトップの開閉時間はわずか10秒。時速50キロ以下であれば走行中も稼働できます。気密性や静粛性は高く、閉じたまま走っていると開閉できることを忘れて走りに熱中してしまいます。
今回試乗したモデルはZ4 M40iで、エンジンは3リッター直6ツインパワーターボ。最高出力は340ps、最大トルクは500Nmを発生させます。0-100km/h加速は4.6秒。これは現在BMWジャパンのホームページで公開されているファーストエディションと同じスペックです。
ボディは“M”の手が入っていることからもわかるように専用のフロントチンスポイラー、リアスカート、ディフューザーといったエアロパーツから、Mスポーツブレーキ、Mスポーツ・ディファレンシャルといったパフォーマンス装備も装着されます。なので、実際に走るとかなりスポーティ。デフォルトで足は硬く、ステアリングも妙にクイックなレスポンスでした。ドライブモードを“スポーツ+”にするとクルマがどんどん煽ってくる感じです。しかもその時のエキゾーストサウンドがものすごい。3500回転からはスポーツカーそのままで、屋根を開けていると爆音が耳に飛び込んできますからアドレナリンは大量に分泌されます。思わず叫びたくなるほど。
といったのがポルトガルでのファーストインプレッション。海沿いを優雅に、と思いきやかなり攻めた走りに夢中になりました。もちろん、ドライブモードを“コンフォート”にしてデート仕様で走ることもできますがね。それにしてもやっぱ2シーターロードスターは格別!と思わせてくれる仕上がりでした。BMWさん、さすがだね。