航空時計のパイオニアがイメージを一新
IWCのCEOを経て、リシュモン・グループのウォッチメイキング&デジタル・マーケティング・ディレクターとしてジャガー・ルクルトなど、複数のブランドを担当してきたジョージ・カーン氏が、ブライトリングの新CEOに就任したのは2017年の夏。
今年1月に上海で開催された発表会「BREITLING Roadshow Shanhai 2018」は、ブライトリングの変革を世界に発信した一大イベントになりました。
カーン氏がCEO就任後、まず行ったのは過去のブライトリング製品を点検することと、ブランドイメージなどのリサーチでした。その過程で、“世界一”のブライトリング コレクターであるオーストラリアのフレッド・マンデルバウム氏に出会い、ブライトリングの豊かな歴史を語り合ったといいます。
ブライトリングというと航空用クロノグラフなど、タフなモデルをイメージしがちですが、過去にはスキーやサイクリング、ヨットなどのスポーツにも深く関わってきました。また、マイルス・デイビスやフランスの名優イブ・モンタンなどの数々のセレブリティも愛用。それ以外にもブライトリングはレディス用モデルを多数展開するなど、あまり知られてこなかった側面が大いにあったことを再認識したそうです。
そして、カーン氏は“クールでハイエンド、だけど堅苦しくはない。工業製品としての硬さは持ちつつ、ラグジュアリーさを忘れない”といったブライトリングの新しいイメージをつくり上げていきます。
この「クロノライナー」は、そんな刷新のなかから登場した比較的新しいモデル。1960年代に製作されていた、計算尺をもたない“AVI”をルーツとするクロノグラフです。
新しいスタイリングとして、強靭で傷のつきにくいハイテク素材、ブラックセラミック・ベゼルを装備する一方、60年代当時のモデルに多数使用されていたスチールメッシュ・ブレスレットを採用。ブライトリングの大いなる遺産と最新技術の融合から生まれた、新時代の名作と呼べるでしょう。
実は、ブライトリングのイベントには、今年だけで5〜6回招待されているのですが、スタッフからレクチャーを受けるたびに新しい発見があり、僕自身もどんどんファンになっています。
ブライトリングが航空時計の分野の第一人者であることは間違いありませんが、陸上や海洋の分野でも素晴らしい製品があり、さらにはクラシカルでエレガントなモデルや実用性の高いモデルも多数存在しました。カーン氏のブライトリングが今後どんなふうに変わっていくのか非常に楽しみです!
Photo:Ikuo Kubota(owl)
Text:FORZA STYLE