エルメスのスカーフを買っている内に惹かれて、シャツにまで手を出すハメに
人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。中村達也さんに続いて登場するのは、株式会社スピラーレの代表取締役社長、神藤光太郎さん。
神藤さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第4回目は、「エルメス」のシャツです。
このエルメスのシャツが好きなんですよ。前回も触れましたが、エルメスには"革"とカバンにまつわる逸話も多いんですが、スカーフやシルクにもストーリーがあるので、やっぱり惹かれてしまいますよね。
大判の「カレ」はメンズだと使いづらいですし、用途も限られ、どちらかと言うとウィメンズのアイテムだと思うので、全然買ったことはないんです。
それに匹敵するアイテムを考えた場合、シャツが念頭に挙がるし、どうせだったら買っとくべきだろうって。持ってるのは、この2枚なんですけど。買ってはみたもののそんなに頻繁には着ない…(笑)。
前回紹介したスカーフを買い集めているときに、「やっぱり いっとかないとダメだろう」と勢いで買いました。元々ジャンニ・ヴェルサーチのシャツが好きで、ヴェルサーチのものも色々とチェックしていたんですが、そのときにエルメスのシルクものにハマってきたんで、方向転換した感じです。
大体は古着屋で買うんですが、めちゃくちゃ安かったです。エルメスとは思えない価格設定でしたね。
かなりアクティブに攻めた柄に見えると思います、自分的にはハワイアンとかアロハシャツとか、そっちのノリで取り入れているので、デニムなんかに合わせて着ることが多いです。
ブルーノ・マーズがヴェルサーチのアイテムを着用して、ちょっとリバイバルしてるじゃないですか。あの感じはあの感じでストリートっぽくてカッコいいなとは思うんですが、年齢的にあぁいうノリで着るのは難しいので、デニムに合わせてサラッと着ることが多いんです。後は、パーティのスーツ着用時で ちょっと悪ノリが許されるときにインナーに着たりしています。
まだ2枚しか持っていませんが、ちょこちょことは探していて、イイ出逢いがあれば買い足そうとは思っています。何種類か欲しい柄があるんですが、なかなか機会がなくて、増えてはいませんが……。
じつはもう1枚ウィメンズのブラウスも持っていてメンズ仕様にカスタマイズして着ています。まずボタンを外して、ボタンホールを開けて、ボタンホールがあった側はまつって閉じてからボタンを付ける改造を施し、左前を右前にお直ししたんです。このシャツはボディが太くて長いので、ウィメンズの方が着丈が短くて丁度いい場合もあるんです。
着る機会はそれほど多くはありませんが、これも手放すことはないと思います。
Photo:Naoto Otsubo
Edit:Ryutaro Yanaka
株式会社スピラーレ 代表取締役社長
クリエイティブディレクターとしてインポーター会社のメンズ部門を統括した実績をもとに、現在は新たなビジネスの準備に取り掛かる。イタリアのニットブランドを皮切りに、日本に魅力的なブランドを持ち込むべく、日夜奔走中。